夜明けを知らないきみへ

息が少し上がり始めた頃、視界が急に開けた。


丘の頂上には、小さな展望台があった。


錆びたフェンス。誰もいないベンチ。風に揺れる、名前の知らない花。


その向こうに、街が広がっていた。



「…うわ」



思わず声が漏れた。


夜だった。


どこまでも、ずっと夜。


無数の窓明かりが静かに瞬いていて、遠くには電車が走っている。


ビルもコンビニも信号機もある。


見慣れているはずの景色だった。