夜明けを知らないきみへ

代わりに湿った土の匂いと夜風に揺れる草の音がやけに大きく耳に残った。


男の子は公園の奥に続く古びた階段の前で足を止める。



「こっち」



優しく微笑んだ男の子は、石段を上り始めその後を私もついていく。


夜風に押されるようにして、長い階段を上り進めていく。


古びた石段の脇には、街灯代わりみたいに小さなランプが並んでいる。


だけどその灯りは妙にぼんやりしていて、輪郭が滲んで見えた。



「…まだ?」


「もうすぐだよ」



どれくらい上ったのかわからない。


この街に来てからずっと、時間の感覚がおかしい気がした。