夜明けを知らないきみへ

月ってあんなに存在感があって身近なものだったっけ?



「そう?この世界には夜しかないからかな。君がいた世界よりも大きく見えるのかもね」


「…あんた、厨二病かなんかなの?」



男の子はきょとんとした瞳で私を見てから、何がおかしいのか吹き出して笑い出した。



「そんな反応されたのは初めてだよ。ここはね、君たちが暮らしていた世界と似ていて全く別の世界なんだよ」



何を言っているのかさっぱり理解ができなかった。


それに、どうして自分がこんなにも素直にこの人についていっているのかも、わからなかった。


ただ、このままついていけば知りたいことが知れるような、そんな気がした。


街から外れるに連れて、ネオンの光は少しずつ遠ざかっていった。


賑やかだったはずの通りはいつの間にか細い坂道に変わり、建物の数も減っていく。