夜明けを知らないきみへ

「でも、君はここに来たばかりだし、この街のことはまだよくわからないでしょ?そのために僕がいるわけだし」


「…は?」



たしかにここがどこかもわからないけど、だからってなんでこの人がそんなこと知っているのだろう。


それに“そのために僕がいるわけだし”って、どういう意味?」



「あ、そっか。自己紹介がまだだったね。僕は“案内人”。君みたいに居場所がなかったり傷ついて苦しんでここに辿り着いたりした人たちの相手をしているんだ。君はどうしてこの世界に来たの?」


「は?あんたさっきから何言ってんの…?」


「うーん、まだ頭が追いついていない感じかな?そうだ、僕についてきて」



もしかしてこの人、やばい人なんじゃ…と考えていると、私の腕を掴んだ男の子に連れられて外に出る。



「月…なんかでかくない?」



薄暗い夜の街を男の子と歩きながら、今まで見た中でずっと近くに感じる白く光っている月に思わず目を細める。