結局、その日はそれで終わった。
やってしまった。と、舞は打ちひしがれた。この後どうしよう。もう話持ち出すの無理だよ。それこそ会わせたがっていると思われてしまう。そうじゃないんだ。あんな変人に綾を会わせるの怖い。でも、何が悪いかって聞かれると特に理由は無い。勝手に人の恋路邪魔するようなこともしたくないし。でも、もうどうにもできないよー。
全くの部外者なのに舞はその日、眠れない夜を過ごした。
しかし結局、その問題は翌日あっさり解決した。
「…あ」
「ん?」
思わず声を上げてしまったら、その声に顔を上げた司と目が合った。お前、何故こんなところにいる。と睨み付けた舞の隣には綾音。二人でご飯を食べようと学食に来て席を探していたらかち合ってしまった。どうしよう。舞は司から視線を逸らして凄い顔をした。でも動けない。
立ち尽くしていたら急に止まったことを不思議に思ったのか、綾音が不思議そうに顔を覗き込む。
「舞ちゃん? どうしたの?」
そして司に気付き、何かを悟ったようだ。こそこそと舞に囁いた。
「舞ちゃん。お話があるなら今日はあたし一人で大丈…」
「違う違う違う!!!」
「え? 違うの?」
じゃあ、どうしたの? とばかりに首を傾げた綾音と舞の事を、困惑した表情で司は見ている。舞に何で睨まれるのか分からないし綾音はやっぱり可愛い。
その時、司と一緒に昼食を食べていた男が声を掛けてきた。
「立花じゃん。どうした?」
司と一緒にいた同じ学部の知り合いに会って、舞は少し息を吹き返した。けれどやっぱり顔がおかしい。何故かわなわなと震えている。それを三人で見ていた。
えーと。特に問題ないなら、一緒にご飯食べる? ほら、目の前の席も空いてるし。と、ふわふわした第三者の誘導により舞と綾音は司の対面に座った。ぐぬぬぬぬ。お前のせいであたしは昨日眠れなかったんだが? と、睨む舞と訳分からんな司を第三者と綾音は無言で見守る。そして四人言葉も無くご飯を食べた。
社会学部の二人は次の時間も講義があるのでおちおちしていられない。食事をお腹に突っ込みながら舞は考えた。どうしよう。変な空気になっちゃった。でもでも、だって。
いや、これはヤバい。まずったなー。更にやりにくくなっちゃった。こんな空気にしちゃって、この後どうやって二人を再度会わせれば良いの? これで綾が警戒しちゃったりしたら流石に申し訳が立たないよ。でも何も思い付かないー…もぐもぐ。
そして味のしない昼食をさっさと完食して気付く。…あれ? これで良いんじゃない? あ、そうじゃん。このまま二人と別れたら引き合わせ完了じゃん。後は自分で何とかしろ。これにて解決! と、最終的にご機嫌になって「じゃ! うちら行くから! 後はごゆっくりー」と、まだ食べ終わっていない綾を置き去りにして立ち上がった。そして何の罪も無い第三者を拉致した。
さて。
とはいえ親友を置き去りにした罪悪感は物凄い。これで良し! と、意気揚々と講義を受け始めたものの、中盤になる頃には正気に戻って焦ってきた。綾、大丈夫かな。上野はどうでも良いけど。
どうしても気になるし、確認しないと講義に集中できないと綾音にメッセージを送る。
「さっきは置き去りにしてごめん。大丈夫だった?」
するとすぐに返事が返ってくる。綾音はこの時間講義は無いと聞いていたし、そこは良い。問題はそこではない。
「大丈夫だよ。まだ一緒にいるよ」
なぬ? その文字に思わず目を剥いた。あれからもう一時間近く経ってますが? ご飯はもう食べ終わったよね。じゃあ、上野に引き留められているの? 余計に悶々としていたら綾音から追加のメッセージが届く。
「次の講義一緒だからそれまで」
そういうことか。と、納得した。終わりが決まっていれば安心だ。
「それ受けたら今日は終わりだよね? 帰りにちょっとお茶しない?」
「舞ちゃん、今日はもうお終いでしょ? 待たせちゃうけど良いの?」
「良いの良いの。待ってる」
「分かった。楽しみにしてるねー」
の、やり取りをしてやっと講義に集中した。
そして次の講義が終わる時間。そろそろかなとスマホの時計を見ていたら綾音の声が聞こえてきた。
「舞ちゃん」
「綾ーっ」
無事だった!? と、振り返ったら司もいる。何でお前がいるんだよーー!
きっ! と、睨み付けて綾音をぶんどるように抱き締めたら司は怪訝な顔をした。
「何なの? さっきから」
「ずっと一緒にいたの?」
「昼の後少し話して講義受けて出てきただけだけど」
簡単に言うけど初対面でするにはそこそこのハードルだぞ。それをすんなりできる司に舞は疑心暗鬼になった。やっぱり女に慣れてるんじゃん!
「綾は平気だった?」
「え? 平気だよ? どうしたの? 舞ちゃん。司君、凄くいい人…」
「司君ーー!?」
何でそんな呼び方をーー!?
「えっと、あ、駄目? あの」
「良いからちょっとこっちに来なさい! お前は帰れ!」
舞は綾音の手を掴んで叫んだ。物凄い迫力に二人は逆えない。
「あ、わ…っ。つ、司君。色々ありがとう。ばいばい」
「…うん。ばいばい」
そんな二度目の初対面だった。
やってしまった。と、舞は打ちひしがれた。この後どうしよう。もう話持ち出すの無理だよ。それこそ会わせたがっていると思われてしまう。そうじゃないんだ。あんな変人に綾を会わせるの怖い。でも、何が悪いかって聞かれると特に理由は無い。勝手に人の恋路邪魔するようなこともしたくないし。でも、もうどうにもできないよー。
全くの部外者なのに舞はその日、眠れない夜を過ごした。
しかし結局、その問題は翌日あっさり解決した。
「…あ」
「ん?」
思わず声を上げてしまったら、その声に顔を上げた司と目が合った。お前、何故こんなところにいる。と睨み付けた舞の隣には綾音。二人でご飯を食べようと学食に来て席を探していたらかち合ってしまった。どうしよう。舞は司から視線を逸らして凄い顔をした。でも動けない。
立ち尽くしていたら急に止まったことを不思議に思ったのか、綾音が不思議そうに顔を覗き込む。
「舞ちゃん? どうしたの?」
そして司に気付き、何かを悟ったようだ。こそこそと舞に囁いた。
「舞ちゃん。お話があるなら今日はあたし一人で大丈…」
「違う違う違う!!!」
「え? 違うの?」
じゃあ、どうしたの? とばかりに首を傾げた綾音と舞の事を、困惑した表情で司は見ている。舞に何で睨まれるのか分からないし綾音はやっぱり可愛い。
その時、司と一緒に昼食を食べていた男が声を掛けてきた。
「立花じゃん。どうした?」
司と一緒にいた同じ学部の知り合いに会って、舞は少し息を吹き返した。けれどやっぱり顔がおかしい。何故かわなわなと震えている。それを三人で見ていた。
えーと。特に問題ないなら、一緒にご飯食べる? ほら、目の前の席も空いてるし。と、ふわふわした第三者の誘導により舞と綾音は司の対面に座った。ぐぬぬぬぬ。お前のせいであたしは昨日眠れなかったんだが? と、睨む舞と訳分からんな司を第三者と綾音は無言で見守る。そして四人言葉も無くご飯を食べた。
社会学部の二人は次の時間も講義があるのでおちおちしていられない。食事をお腹に突っ込みながら舞は考えた。どうしよう。変な空気になっちゃった。でもでも、だって。
いや、これはヤバい。まずったなー。更にやりにくくなっちゃった。こんな空気にしちゃって、この後どうやって二人を再度会わせれば良いの? これで綾が警戒しちゃったりしたら流石に申し訳が立たないよ。でも何も思い付かないー…もぐもぐ。
そして味のしない昼食をさっさと完食して気付く。…あれ? これで良いんじゃない? あ、そうじゃん。このまま二人と別れたら引き合わせ完了じゃん。後は自分で何とかしろ。これにて解決! と、最終的にご機嫌になって「じゃ! うちら行くから! 後はごゆっくりー」と、まだ食べ終わっていない綾を置き去りにして立ち上がった。そして何の罪も無い第三者を拉致した。
さて。
とはいえ親友を置き去りにした罪悪感は物凄い。これで良し! と、意気揚々と講義を受け始めたものの、中盤になる頃には正気に戻って焦ってきた。綾、大丈夫かな。上野はどうでも良いけど。
どうしても気になるし、確認しないと講義に集中できないと綾音にメッセージを送る。
「さっきは置き去りにしてごめん。大丈夫だった?」
するとすぐに返事が返ってくる。綾音はこの時間講義は無いと聞いていたし、そこは良い。問題はそこではない。
「大丈夫だよ。まだ一緒にいるよ」
なぬ? その文字に思わず目を剥いた。あれからもう一時間近く経ってますが? ご飯はもう食べ終わったよね。じゃあ、上野に引き留められているの? 余計に悶々としていたら綾音から追加のメッセージが届く。
「次の講義一緒だからそれまで」
そういうことか。と、納得した。終わりが決まっていれば安心だ。
「それ受けたら今日は終わりだよね? 帰りにちょっとお茶しない?」
「舞ちゃん、今日はもうお終いでしょ? 待たせちゃうけど良いの?」
「良いの良いの。待ってる」
「分かった。楽しみにしてるねー」
の、やり取りをしてやっと講義に集中した。
そして次の講義が終わる時間。そろそろかなとスマホの時計を見ていたら綾音の声が聞こえてきた。
「舞ちゃん」
「綾ーっ」
無事だった!? と、振り返ったら司もいる。何でお前がいるんだよーー!
きっ! と、睨み付けて綾音をぶんどるように抱き締めたら司は怪訝な顔をした。
「何なの? さっきから」
「ずっと一緒にいたの?」
「昼の後少し話して講義受けて出てきただけだけど」
簡単に言うけど初対面でするにはそこそこのハードルだぞ。それをすんなりできる司に舞は疑心暗鬼になった。やっぱり女に慣れてるんじゃん!
「綾は平気だった?」
「え? 平気だよ? どうしたの? 舞ちゃん。司君、凄くいい人…」
「司君ーー!?」
何でそんな呼び方をーー!?
「えっと、あ、駄目? あの」
「良いからちょっとこっちに来なさい! お前は帰れ!」
舞は綾音の手を掴んで叫んだ。物凄い迫力に二人は逆えない。
「あ、わ…っ。つ、司君。色々ありがとう。ばいばい」
「…うん。ばいばい」
そんな二度目の初対面だった。
