厨二病くんの初恋。

初めましての方は初めまして!
カクヨムでみつけてくださったことがある方はこんにちわ!
僕の名前はorange(オレンジ)と申します!
こちらカクヨムで完結してるのですが、7話からみてもらえてない?!
ということで!
ほんっっっっっっっとにみつけてくれたあなた様様に感謝しか出来ませぇん!!!
野いちごでもまとめて投稿しようかなと考えておりましてよろしければいいねや感想を…!
恵んでくださぁぁぁい!!
それではご観覧ありがとうございました!
番外編を下に記載しているのでどーぞっ


番外編「告白」

放課後の旧校舎、屋上へ続く階段の踊り場
ここは生徒が滅多に来ない俺たちの「秘密の聖域」だ
夕焼けが窓から差し込み、長い影が床に伸びている
俺はいつものように壁に寄りかかり眼帯に手を当てて、なるべく低く、芝居がかった声を絞り出した
「……悠真 貴様をここに呼び出したのは他でもない 世界を包む混沌が我らの因果を断ち切ろうとしているからだ わかるか? 俺はもうこの疼き(想い)を抑えきれんのだ……!」
心臓が口から飛び出しそうだった
「疼き」なんて格好つけてるけど本当はただ悠真が好きすぎて苦しくて死にそうってだけだ
悠真は大きな桜色の瞳でじっと俺を見つめていた
逃げ場のない真っ直ぐな視線
「皇くん、それってどういう意味? 『設定』じゃなくて皇くん自身の言葉で聞きたいな」
「っ……、こ、これは設定ではない! 漆黒院零音としての宣戦布告だ!」
俺は必死にマント(指定ジャージ)を翻して格好をつけようとした
でも悠真が一歩、また一歩と近づいてくるたびに俺の防壁(キャラ設定)はボロボロと崩れていく
「ねえ、皇くん ……俺のこと、好きなの? それとも、嫌い?」
悠真の手が俺の眼帯に触れた
指先の熱が伝わってきて思考が真っ白になる
悠真はそのままゆっくりと俺の眼帯をずらした
「隠さないでよ 俺、皇くんの本当の目、好きなんだ」
その瞬間、俺の厨二病という名の鎧は音を立てて砕け散った
眼帯を外され、両目を曝け出した俺はもう「漆黒院零音」ではいられなかった
ただのどこにでもいる、恋をした高校生
俺は俯き、震える拳をぎゅっと握りしめて掠れた声で言った
「……ずるいだろ お前、いつもそうやって俺の邪魔して……」
「え?」
「……好きだよ! 漆黒院零音とか、魔王とか、そんなの全部嘘だよ! 俺は……俺、神宮寺皇は、お前が、悠真が、死ぬほど好きなんだよ……っ!!」 
叫ぶように俺は本音をぶちまけた
顔はたぶん、夕焼けよりも赤くなっていたと思う
言ってしまった 忌まわしき真名
そして一番言いたくなかった、一番言いたかった、情けない俺の気持ち
「……あ」
悠真が目を見開いた 嫌われたかもしれない
キモいって思われたかもしれない。 
「……俺もずっと大好きだったよ 俺だけのものにしても、いいのかな…?」
悠真のその言葉が屋上の階段踊り場に溶けていく
俺は石化したように固まっていた
眼帯を外され、剥き出しになった右目が行き場をなくして泳ぎ回る
(…え? 今、なんて? 大好き? 俺だけのものに……!?)
脳内の「漆黒院零音」があまりの衝撃に椅子から転げ落ちて消滅した
さっきまで必死に叫んでいたはずなのにいざ想いが通じ合ったと理解した瞬間、全身の毛穴という毛穴から冷や汗が吹き出した
「あ……う、あ……」 
言葉にならない声が漏れる
顔の熱さはもはや夕焼けのせいになんてできない
沸騰したヤカンのように脳みそがぐつぐつと音を立てている
悠真は俺の反応を楽しむように一歩だけ距離を詰めてきた
「皇くん、返事は? 嫌……だった?」
「い、嫌なわけないだろ! むしろ、その……逆、っていうか、ええい! 貴様、この俺をここまで動揺させるとは、どんな高位魔術を……っ」
思わずいつもの口調が漏れるが声は震えて裏返っている
悠真は「ふふっ」と小さく笑うとおもむろに右手を差し出してきた
「じゃあ……まずは、これ してもいい?」 
差し出されたのは真っ白で少しだけ指の長い、悠真の手
それを見た瞬間、俺は飛び上がらんばかりに驚いた
「て、てててて、手を繋ぐというのか!? こ、この白昼堂々(もう夕方だけど)衆人環視の元で(誰もいないけど)そんな破廉恥な『合一の儀』を……!」
「ただの手繋ぎだよ? ほら」 
悠真が躊躇いなく俺の右手を包み込んだ
「――っ!?!?!?」 
心臓がドッ、と大きく跳ねた
温かい
悠真の手は俺の手よりも少しだけ大きくてしっかりと俺の指を絡めてくる
肌と肌が触れ合う
ただそれだけのことなのにそこから得体の知れない熱が流れ込んできて俺の血管を逆流していくみたいだ
「……あ、あ……あう……」 
俺は繋がれた自分の手と悠真の顔を壊れたおもちゃみたいに交互に見つめた
いつもは「闇の波動」だなんだと強がっている俺の指先が今、目に見えてガタガタと震えている
「皇くん、手、すごい震えてるよ? もしかして……緊張してる?」
「き、緊張などしていない! これは、貴様の光の魔力と俺の闇の魔力が反発し合って……、というか、その、……単純に、心臓に悪いんだよバカ!」 
俺は俯き、繋がれた手にさらに力を込めた
離されたくない でも、触れられているのが恥ずかしくて死にそう
そんな矛盾した感情が俺の中で大爆発を起こしている
すると悠真は繋いだ手を離さないまま、もう片方の腕を俺の腰に回してきた
「っ……!! な、なんだ!? 次は何の呪文だ!?」
「次は……『ぎゅー』……だめ?」 
悠真が俺の胸に顔を埋めるようにして抱きついてきた
眼鏡をかけていない悠真の瞳が至近距離で俺を見上げている
その瞳に宿る熱っぽさに俺の残っていた理性が音を立てて崩壊した 
ふわっと悠真から香る石鹸の匂い
俺の腕の中に悠真がいる 
あいつの心臓の音が俺の胸板を通して伝わってくる
「……っ、ゆうま……、お前、……お前……っ」 
俺の腕はどうすればいいか分からず宙を彷徨っていた
背中に手を回せばいいのか? それとも、肩を抱けばいいのか? 
アニメやマンガで何百回も見てきた「ハグ」のシーンが脳内を駆け巡るがいざ実践となると脳内のコマンドがすべて「Error」で埋め尽くされる
「皇くんも……してよ 腕、回して?」
「……う、ううう……っ」 
俺は泣きそうな気分になりながらおそるおそる悠真の細い背中に腕を回した
触れた制服越しに彼の体温を感じる
ぎゅっと力を込めると悠真が「くすぐったい」と小さく笑ってさらに俺に体重を預けてきた
「……なぁ、悠真」
「なあに?」
「……これ、反則だろ …俺、もう、漆黒院零音に戻れないかもしれない……」
「いいよ ずっと、俺だけの皇くんでいて」 
耳元で囁かれた甘い言葉に俺はもう言葉を返すことさえできなかった
キスなんてまだ先の話でいい
今はただこの繋いだ手の熱さと腕の中にある悠真の重みだけで俺の宇宙(せかい)はパンクしそうだった
夕闇が深まる中、俺たちはしばらくの間、どちらからともなく離れることができずただただ初めて触れ合うお互いの温度に戸惑い、そして溺れていた