その忌み子は最上級の鬼に溺愛される


「ここが、俺の住処だ、花嫁様」
 鬼は家の中に招き入れるように、にこりとしてそういった。
「はい……」
 しばらく歩いたところにきれいと言ってもいい小屋があった。
「ここは……どうされたのですか?」
 わたしは、おずおずと質問した。
「廃墟になっていたところを俺がきれいにした」
 鬼は当たり前のように言った。
「そんなことができるのですか?」
 わたしは、鬼がそんなことができるなんて聞いたことがなかったのだ。
「ああ、俺には人間の行商人というのか?知識や食いものをやり取りする人間がいるからな」
 そう話す鬼はどこか楽しそうだった。
「そうなのですね……」
 この鬼はただ人間を襲うだけの低級の鬼と比べると筋金入りの変わり者のようだ。そんなことをわざわざして過ごす意味がないのだから。
(ひょうひょうとしているけれど、さっきまで私を今晩のおかずだと思っていたのだもの、いい加減なことはできないわ)
「花嫁様、飯を作ってもらえるか?行商人が来たばかりで材料もたくさんある」
 鬼はにこりとしているが、どこか冷たい感じのする声で言った。
「は、はい」
 料理は使用人として過ごしていたから、ある程度はできる。……台所でも邪魔者扱いされていたけれど。
「わあ……これを自由に使ってよいのですか?」
「ああ」
 失敗したらどうなるか、より、この色とりどりの野菜たちを自由にしていいことに心がおどっていることに気づいた。
「お待ちくださいね」
 わたしは思わず笑顔になっていた。
「あ、ああ」
 鬼は、すこし意外な顔をしていた。