「花咲、お前には鬼の嫁になってもらうよ」
子爵の称号を持つ息子を実子に据えるわたしの継母が冷徹に言い放った。わたしは継母に呼び出され、二人になっていた。
「お母さま、なにを……?」
わたしは、何を言われているのか理解できず動揺した。
「神聖な山に、最上級の鬼が持つという笛を吹く鬼が住みついてもう一か月になるのは知っているだろう?」
継母はどこか楽しそうに言う。
「ええ……」
わたしは相槌を打つことしかできない。
「それから、天気が安定しなくなってねえ。飢饉が起きそうなんだよ。だから、子爵の聖なる血を継ぐお前にしかできないことなんだよ、天の怒りを治めることは」
(嘘だ)
わたし、花咲は生まれついての忌み子なのだ。顔に大きな赤いあざがある。民からもそれなりの扱いを受けてきた。
(それを聖なる血だなんて……よく言えたものね。厄介払いをしながら飢饉の借金を肩代わりせずに一揆を回避したいだけに違いないわ)
「お前が鬼に嫁入りすれば、民たちもお前の尊い思いにいっそう仕事に励むはずよ」
(どうしてこの人はこんなに口が回るの)
「わたしが簡単に承諾するとでもお思いですか」
もうこの世にいなくとも、わたしが死ねば悲しむ人がいる。
「お前は、昔から聞き分けが悪いものね、分かっているわ。だからね」
継母の顔が邪悪になっていくのを感じる。
「だから……?」
気づいた時にはもう遅かった。後頭部に衝撃を受け、少しずつ視界が狭まっていった。
「人間の笛をわざわざ吹く変わり者だもの。きっとお前のこともかわいがってくれるさ。どういうカタチでもね」
絶対に生きてやる。継母の思い通りになんてさせない。
子爵の称号を持つ息子を実子に据えるわたしの継母が冷徹に言い放った。わたしは継母に呼び出され、二人になっていた。
「お母さま、なにを……?」
わたしは、何を言われているのか理解できず動揺した。
「神聖な山に、最上級の鬼が持つという笛を吹く鬼が住みついてもう一か月になるのは知っているだろう?」
継母はどこか楽しそうに言う。
「ええ……」
わたしは相槌を打つことしかできない。
「それから、天気が安定しなくなってねえ。飢饉が起きそうなんだよ。だから、子爵の聖なる血を継ぐお前にしかできないことなんだよ、天の怒りを治めることは」
(嘘だ)
わたし、花咲は生まれついての忌み子なのだ。顔に大きな赤いあざがある。民からもそれなりの扱いを受けてきた。
(それを聖なる血だなんて……よく言えたものね。厄介払いをしながら飢饉の借金を肩代わりせずに一揆を回避したいだけに違いないわ)
「お前が鬼に嫁入りすれば、民たちもお前の尊い思いにいっそう仕事に励むはずよ」
(どうしてこの人はこんなに口が回るの)
「わたしが簡単に承諾するとでもお思いですか」
もうこの世にいなくとも、わたしが死ねば悲しむ人がいる。
「お前は、昔から聞き分けが悪いものね、分かっているわ。だからね」
継母の顔が邪悪になっていくのを感じる。
「だから……?」
気づいた時にはもう遅かった。後頭部に衝撃を受け、少しずつ視界が狭まっていった。
「人間の笛をわざわざ吹く変わり者だもの。きっとお前のこともかわいがってくれるさ。どういうカタチでもね」
絶対に生きてやる。継母の思い通りになんてさせない。
