「#23」

まだ夢の中なのかな………

そうだ、鼻毛は町を案内してくれた。

学校にも通わせてくれた。

だけど、友達は出来なかった。

オレの親父はヤクザの親分だからって怖がって誰も近付いては来なかったから………

………………

そのかわりに、ヒョロヒョロの細川という30代の男が友達になってくれた。

細川から、こんな話を聞いた。

「鼻毛の親分は凄いんです。

社会から爪弾きにされた人間や使い捨てにされた労働者やホームレス、身寄りの無い子供達……

弱い者の味方であり続けているヒーローみたいな人なんです。」

実際、警察にも一目置かれていたようで、厄介事に親父が現れると警察は一礼して、その場を去る事が多かった。




そうそう、この細川は…


よく親父にドヤされていた。



「何を聞いてんだ、テメェの頭はピーマンか?」

「ピーマン好きっす‼︎」

「なんだとこの野郎、チンジャオロースにしちまうぞ‼︎」

「チンジャオロース好きっす‼︎」

その言葉に昼時で空腹だった部下達が反応する。

「チンジャオロース、チンジャオロース‼︎」

部下達は小躍りして、よくわからん鼻歌を歌い始める。

親父は呆れ顔で…

「わかった、わかった、食いに行くか!

満福軒のオヤジさんに電話しとけ。

他のお客さんに迷惑かけちゃならねぇからな…

お前達、酒飲んでも暴れんじゃないぞ…ワハハハハハ‼︎」

親父のデカい笑い声が事務所に響きわたる。

部下達は、まんぷく…まんぷくと鼻歌交じりで小躍りしていた。


「なぁ親父、まんぷくってなんだよ。」


「ワハハハハハ…腹がいっぱいって意味だよ、ワハハハハハ…」

親父はオレの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわした。



……ああ、そうだ、こんな事もあったな。


鼻毛は真剣な表情で語りかける。

「なぁ誠次よ、義務教育が終わったら、どうする?」

オレは…

「どうするって…どういうことだ?」

親父は口髭を撫でる。

「高校や大学に行きたいかってことだよ。」

オレは…

「そこは給食が出るとこなのか?」

親父は盛大に笑った。

「給食は多分出ないと思うぞ、ワハハハハハハハハ…」

オレは真面目に答えた。

そして、お願いした。

「そうか、なら行かなくていいよ、そのかわりにコロシを教えてくれよ‼︎」

親父は口髭をワシワシと撫でまわした。

「…なぁ誠次、出来るんならよぉ、お天道様の下を歩ける人生を…って、思っているんだがな………」

オレは笑顔で答えた。

「大丈夫、もう2人…殺したことあるんだ‼︎」

親父は頭を抱えた。

「殺した、殺したのか?」

ジェスチャーで細川を呼びつけて耳打ちする。

「誠次について調べろ、うまくやれ。」

「あいさー!」

細川は、やっぱり馬鹿だった。

「ん、細川さん、どうかしたの?」


親父はジェスチャーで細川を追い払った。



…話は.ここから数週間後へと移っていく事となる。