「#14」
陽葵が灰色に変わった7月16日の放課後…
33階のカンファレンスルームに3人は集まっていた。
「陽葵さんが灰色に変わったという事には確実に何か、何か意味があるはずなんだ。」
秀一は頭をポリポリとかきながら…
ホワイトボードを背にしたままで、講義用の教卓へ両手をついて秀一は続ける。
「真夜には少し酷かも知れないのを承知で思い出して欲しいんだ、白…黒…そして今回の灰色…それ以外に変わったことはないのか?」
秀一は少し捲し立てるようで焦っていた。
額に手を当てて、絞り出すように真夜は話し出す。
「猫のクロが白に………お父さんとお母さんが黒になって…………えと、あ、あと、あとは…そうだ、葬式の時だ、透明なオバケみたいな人がいたの…」
「オバケみえた…です…」
美優希は心配そうだ。
「口元だけ異様にギラギラと赤く光っていて不気味で…何の感情も感じられない気持ち悪い笑い顔で…」
真夜は苦悶の表情だ。
「確か…お父さんの弟さんだって言っていたような……えと、えーと………」
「真夜、何か、もっと…もっとだ、頑張れ、思いだせ!」
秀一も手掛かりを求めて必死だ。
「もっと、もっと、もっと………ウッ…」
込み上げるものを感じてトイレへ駆け出す真夜。
すぐさま、後を追う美優希。
多目的トイレへ誘導して一緒に入る美優希。
真夜は便器を抱え込むようにして盛大に嘔吐する。
とても辛そうだ。
「もう、思い出さなくていいです。」
美優希は優しく真夜の背中をさする。
少し顔色が悪くなったままの真夜と心配そうにしている美優希がカンファレンスルームへと戻ってきた。
自分がしでかした事に反省した様子で秀一は謝った。
「ごめん、ごめんな、オレ…真夜の辛さなんて、これっぽっちもわからないでさ、それなのに…それなのに…本当にごめんなさい。」
膝に額がつきそうなくらいの謝罪をする秀一。
「大丈夫、秀一も秀一なりに必死で頑張ってくれてるの、知ってるもの。」
落ち着きを取り戻した真夜は苦笑する。
「つまりです、白…黒…灰色…さらに透明もある……です?」
流石の美優希、マイペースだ。
「話を戻す、無理なら無理で答えなくていい…その透明な弟さんとやらは、今も存命なのか?」
秀一の質問に真夜は…
「うーん、どうだろう、よくわからないけど、多分、おそらくだけど亡くなってはいないと思うな。」
秀一は天を仰ぐ。
「まいったな、お手上げだ、また振り出しに戻らされたみたいな、何かルールってか法則みたいなの手掛かりが掴めるんじゃないかと思ってた、矢先だからな。」
「でも、まだ、陽葵ちゃんが大丈夫とは限らないし、巻き込んでしまったのは私の方だし、もう少し手伝ってもらってもいいかな。」
自分のきっかけで大切な時間を割いて付き合ってもらっている事が辛くなる真夜。
「確か、今日はバイトに入ってなかったから軽音部の部室で練習してたと思うぞ…当たり前だ、やろう。」
秀一は親指を立ててウインクする。
「お手伝いします…です‼︎」
美優希も頼もしい返事をしてくれた。
このカンファレンスルームでの会議から一週間後の7月22日。
爽やかな朝のエントランスホールに陽葵の元気な声が響いてきた。
「真夜ちゃん、おはよう!」
背後からの陽葵の声に振り向く真夜。
「おはよう、陽葵ちゃん…」
そう返すのが精一杯であった。
別世界の存在の様にゆらめいている陽葵。
死神みたいだ。
陽葵は黒に変わっていた。
両親を亡くした時にみた。
あの色に変わっていた。
思い出さずにはいられなかった…
この後、すぐに何が起こるのかを。
腰を抜かしたみたいに力無く、へたりと尻餅をつく真夜。
心配そうに近付いてくる陽葵。
「わわ、大丈夫、貧血かな?」
その様子に気づいた美優希が駆け出す。
「真夜さん、大丈夫です、美優希です、聞こえてるです?」
その言葉が終わらないうちに、秀一も駆け寄る。
「おはよう、陽葵さん、真夜のやつ、ちょっとばかり貧血気味で…でも大丈夫だから心配しないで…」
真夜が秀一の耳元で囁いた。
「黒になった、黒になったの…どうしよ。」
「黒、黒って…今日なのか?今日…」
秀一の言葉に美優希。
「今日……です。」
「今度こそ…今度こそ……」
呟く真夜。
「あぁ、助けよう、出来るさ、やろう‼︎」
真夜の肩を抱きしめる秀一。
わなわなしている美優希。
そして、7月22日の放課後がやってきた。
生暖かい風が吹いているエントランスホールで3人は陽葵を待っていた。
陽葵が灰色に変わった7月16日の放課後…
33階のカンファレンスルームに3人は集まっていた。
「陽葵さんが灰色に変わったという事には確実に何か、何か意味があるはずなんだ。」
秀一は頭をポリポリとかきながら…
ホワイトボードを背にしたままで、講義用の教卓へ両手をついて秀一は続ける。
「真夜には少し酷かも知れないのを承知で思い出して欲しいんだ、白…黒…そして今回の灰色…それ以外に変わったことはないのか?」
秀一は少し捲し立てるようで焦っていた。
額に手を当てて、絞り出すように真夜は話し出す。
「猫のクロが白に………お父さんとお母さんが黒になって…………えと、あ、あと、あとは…そうだ、葬式の時だ、透明なオバケみたいな人がいたの…」
「オバケみえた…です…」
美優希は心配そうだ。
「口元だけ異様にギラギラと赤く光っていて不気味で…何の感情も感じられない気持ち悪い笑い顔で…」
真夜は苦悶の表情だ。
「確か…お父さんの弟さんだって言っていたような……えと、えーと………」
「真夜、何か、もっと…もっとだ、頑張れ、思いだせ!」
秀一も手掛かりを求めて必死だ。
「もっと、もっと、もっと………ウッ…」
込み上げるものを感じてトイレへ駆け出す真夜。
すぐさま、後を追う美優希。
多目的トイレへ誘導して一緒に入る美優希。
真夜は便器を抱え込むようにして盛大に嘔吐する。
とても辛そうだ。
「もう、思い出さなくていいです。」
美優希は優しく真夜の背中をさする。
少し顔色が悪くなったままの真夜と心配そうにしている美優希がカンファレンスルームへと戻ってきた。
自分がしでかした事に反省した様子で秀一は謝った。
「ごめん、ごめんな、オレ…真夜の辛さなんて、これっぽっちもわからないでさ、それなのに…それなのに…本当にごめんなさい。」
膝に額がつきそうなくらいの謝罪をする秀一。
「大丈夫、秀一も秀一なりに必死で頑張ってくれてるの、知ってるもの。」
落ち着きを取り戻した真夜は苦笑する。
「つまりです、白…黒…灰色…さらに透明もある……です?」
流石の美優希、マイペースだ。
「話を戻す、無理なら無理で答えなくていい…その透明な弟さんとやらは、今も存命なのか?」
秀一の質問に真夜は…
「うーん、どうだろう、よくわからないけど、多分、おそらくだけど亡くなってはいないと思うな。」
秀一は天を仰ぐ。
「まいったな、お手上げだ、また振り出しに戻らされたみたいな、何かルールってか法則みたいなの手掛かりが掴めるんじゃないかと思ってた、矢先だからな。」
「でも、まだ、陽葵ちゃんが大丈夫とは限らないし、巻き込んでしまったのは私の方だし、もう少し手伝ってもらってもいいかな。」
自分のきっかけで大切な時間を割いて付き合ってもらっている事が辛くなる真夜。
「確か、今日はバイトに入ってなかったから軽音部の部室で練習してたと思うぞ…当たり前だ、やろう。」
秀一は親指を立ててウインクする。
「お手伝いします…です‼︎」
美優希も頼もしい返事をしてくれた。
このカンファレンスルームでの会議から一週間後の7月22日。
爽やかな朝のエントランスホールに陽葵の元気な声が響いてきた。
「真夜ちゃん、おはよう!」
背後からの陽葵の声に振り向く真夜。
「おはよう、陽葵ちゃん…」
そう返すのが精一杯であった。
別世界の存在の様にゆらめいている陽葵。
死神みたいだ。
陽葵は黒に変わっていた。
両親を亡くした時にみた。
あの色に変わっていた。
思い出さずにはいられなかった…
この後、すぐに何が起こるのかを。
腰を抜かしたみたいに力無く、へたりと尻餅をつく真夜。
心配そうに近付いてくる陽葵。
「わわ、大丈夫、貧血かな?」
その様子に気づいた美優希が駆け出す。
「真夜さん、大丈夫です、美優希です、聞こえてるです?」
その言葉が終わらないうちに、秀一も駆け寄る。
「おはよう、陽葵さん、真夜のやつ、ちょっとばかり貧血気味で…でも大丈夫だから心配しないで…」
真夜が秀一の耳元で囁いた。
「黒になった、黒になったの…どうしよ。」
「黒、黒って…今日なのか?今日…」
秀一の言葉に美優希。
「今日……です。」
「今度こそ…今度こそ……」
呟く真夜。
「あぁ、助けよう、出来るさ、やろう‼︎」
真夜の肩を抱きしめる秀一。
わなわなしている美優希。
そして、7月22日の放課後がやってきた。
生暖かい風が吹いているエントランスホールで3人は陽葵を待っていた。


