生贄にされた花嫁は不老不死の妖狐に愛される

 御影は今日の出来事を思い返していた。
 雑貨屋で握った小さい手。壊れそうで、傷つけたくないのに、絶対に離したくない。
 醜い感情。本当はもう気づいている。
 彩に惹かれ初めていることを。
 街を見て、純粋にはしゃいでいる姿。
 和菓子屋で見た、目を輝かせておいしそうに食べる姿。
 すべてが愛らしく、いとおしい。
 本当は呉服屋に行ったのも、彩のためだ。
 彩がよく目にしていたものを仕立てるように注文した。
 ハンドクリームも喜ぶ顔が見たくて、贈った。
 ただ、笑っていてほしいと思う。
 彼女にとってやさしい世界であればいい。
 つい最近動き始めた御影の心臓は、鳴りやむことを知らなかった。