生贄にされた花嫁は不老不死の妖狐に愛される

 最後に寄ったのは呉服屋だった。
「ここは伏見家御用達の店だ」
 確かに立派で、たくさんの上質そうな布が置いてあった。
「今日は仕立ててもらった着物を取りに来た。少し店主と話すから好きに見ておいてくれ。」
「かしこまりました」
 一人で店内を見ていると、本当にきれいな布ばかりだと思った。
 同時に自分はきっと一生着ることはできないだろうなと思った。
 少したつと、御影が戻ってきた。
「待たせてすまない、何か気にいったものはあったか?」
「いえ」
 雑貨屋の時と同じ答えだった。
「では、帰ろうか」
 行きと同じように御影が運転し、家についた。
「今日はどうだったか?」
 御影が彩の様子を窺うようにして聞いた。
「楽しかったです。とっても」
「そうか、ではまた行こう」
 安心したように御影が言った。
(次は来るだろうか...)
 次といわれてうれしい反面、不安になった。