生贄にされた花嫁は不老不死の妖狐に愛される

 雑貨屋は本当にたくさんのものが置かれていた。
 その中で目についたのは、桔梗の香りのハンドクリームだった。
(綺麗...)
「一通り見終わったが、何か欲しいものはあったか?」
 ハンドクリームが頭に浮かんだが御影にねだるなどそんな図々しいことはできない。
「いえ、特には」
「そうか、では次へ行こう」
 次に行ったのは和菓子屋だった。
 遠慮なく頼めと言われたが、高級そうな和菓子屋に萎縮し、結局御影と同じものを頼んだ。
 やってきたのは、みたらし団子だった。粒が大きく、つやつやとたれが光っている。
 彩が食べるのを躊躇していると、
「早く食え」
 と御影に言われてしまった。
 意を決して口に入れると、衝撃が走った。
 もちもちのお団子、香ばしく上品な甘さのたれが絡み合って、とてつもなくおいしい。
 彩があまりのおいしさに感動していると、御影が突然笑い出した。
 御影が口を開けて笑うのを初めて見た。
「どうして笑っているんですか?」
「あまりにもおいしそうに食べるからおもしろくなって」
 彩は顔が熱くなる。確かに子供のように、はしゃぎすぎたかもしれない。
「あんまり、見ないでください...」
 彩が縮こまると、御影はまた口を開けて笑った。
 彩もなんだかおかしくなって、一緒に笑った。
 今だけは彩と御影、二人だけの時間だった。