生贄にされた花嫁は不老不死の妖狐に愛される

 夕飯の支度が終わると、ちょうど御影が仕事から帰ってきた。
「おかえりなさいませ、...旦那さま」
 初めての旦那さま呼びは緊張した。
「ただいま、...彩」
「っ!」
 初めて名前を呼ばれた。
 顔を上げて御影を見ると、いつも通りの無表情に見えたが、耳が赤くなっていた。
 彩は居たたまれなくなり、
「お風呂になさいますか、夕飯になさいますか」
 と聞いたが、声が上ずってしまった。
「夕飯にする」
 なんとなくぎこちない空気でお出迎えは終わった。
 夕飯の時間、ちゃぶ台の上には、お味噌汁、小松菜のお浸し、サバの味噌煮、炊き立ての白米が湯気を立たせて並んでいた。
 彩お手製だ。
 御影が口にするのを待つ。
 御影がお味噌汁をすすり、サバの味噌煮を口に入れた。
「うまい、これもうまいな」
「っ!ありがとうございます」
 うれしい。また褒めてもらえた。
「彩も早く食え」
「はいっ」
 その日の夕飯は和やかな雰囲気だった。