生贄にされた花嫁は不老不死の妖狐に愛される

 彩は御影が仕事に行っている間、掃除などを手伝おうとしただが、必死の形相で使用人たちに止められた。
「彩さまにそんなことをさせてしまったら、私たちが御影さまに怒られてしまいます」
「朝、すごく怖かったんですから!」
 そういわれてしまえば彩もうなずくしかなかった。
 しかし吉柳家にいたころは一日中家事や雑用をしていたので、夕飯をつくるまで何をすればいいかわからない。
 そう思い、自室でぼーっとしていると、戸を叩かれた。
 返事をするひょこっと顔を出した。
「お暇なら文江と刺繍でもしませんか?」
 刺繍、したことがない。楽しそうだ。
「初めてですけど、できますか?」
「ええ。できますとも、なんせ文江がついてますから!」
 そう言われてうれしくなった。この家の人はみんなやさしい。
「さぁ、やりましょう!」
 刺繍を始めるとほんとに楽しかった。
 手ぬぐいなどにお花の刺繍をしたり、文江に筋がいいと言われたり、お世辞でもすごくうれしい気持ちになった。
 時間はあっという間に過ぎた。
「すごく楽しかったです。ありがとうございました」
「いえいえ、文江のほうこそとっても楽しかったですわ。またしましょうね」
 当たり前のように次があって本当に嬉しかった。
 まるで心に花が咲いたようだった。