今日も授業が終わってからすぐ体育館へと向かった。練習が始まる前に運動着に着替えて、モップがけやコートの準備をしなくてはならない。友人達に別れを告げて、急いで教室を出た。そして生徒達が行き交う廊下を歩いていた時…どこからか、何かの食材とケチャップを焼いたような匂いが漂ってくるのを感じた。
すぐ近くには家庭科室があるから、匂いはそこから漂ってきているようだ。ガチャガチャとアルミの器や調理器具がぶつかる音や生徒達の話声も扉越しに聞こえてくる。家庭科部が活動しているのか、と思ったのと同時に、胃の中は空っぽなのにその香ばしい香りで胃もたれしそうになってしまった。
去年までは家庭科部の活動は目立たなかったが、今年になって部員が増えて本格的に動き始めたらしい。同じクラスの女友達が前にそう言っていた気がする。
そんなことを思い出しながら、俺は家庭科室を横目に足早に体育館へと走り出した。本格的に胃もたれしてしまったら大変だ。

