「はははっ全力否定!ありがと、そうだよな。水見はそんなこと思わない奴だよ」
「あ…うん」
自分でも驚くくらい大きな声が出てしまった。一緒にいるのが嫌だとか人に見られたくないとか、そんなことを思ってる訳じゃないから否定したくて…。
「でもなんか、いつも俺が通りがかると気まずそうなのってさ、もしかして俺が他の奴と仲良くしてんの嫉妬しちゃってる?」
「……っ!えっ、」
「あれ…冗談で言ったんだけど、マジなの?」
あ、ダメだ。図星を突かれて誤魔化せない…。こういう時、慣れてる人ならどうやって言うんだろう。今まで恋愛沙汰なんて無かった。気になる人くらいは中学でいたけど、それ止まりで見てるだけだった。
こういう時、バレないように上手く振る舞うやり方なんて知らない…。
「…い、いや、そんなんじゃ」
スプーンを持つ手が震える。もし俺の気持ちに勘づかれたら、バレてしまったら…またあの夕食の時みたいに、母親に気持ち悪いと言われた時のようになってしまう。
柏くんにも気持ち悪いって言われて、ドン引きされて、もう会えなくなってしまう…。そんなの嫌なのに…。
「ちょっとちょっと、水見動揺しすぎ。そんな焦ることじゃないだろー?」
でも、柏くんは俺の想像したようなことは一言も発さず、目の前の椅子に腰掛けた。そしてなぜか嬉しそうにニコニコしている。
「…なんで笑ってるの?」
「ん?だって、嫉妬するくらい俺のこと人として好きになってくれたってことじゃん」
「……え、」
「水見、そんなに俺のこと好いてくれてるんだなーって思ったら嬉しくてさ!そんだけ仲良くなれたってことだし、もう俺達はすっかり友達なんだなって思って!」
「俺が…好いてても、嫌じゃないの?」
「逆になんで嫌なの?人に好かれて嬉しくないことあるか?」
本当にこの人は…なんでこんなに好きにさせるんだ。柏くんの言う「好き」は人としてで、恋愛的な意味じゃないことは分かってる。
でも、たとえ俺の好きとは違っても、なんだか自分を受け入れてくれたような気がしたんだ。いつの間にか手の震えは止まって、指先から心臓にかけてじわじわ温かくなっていく感覚がした。その温かさのせいか、また目頭が熱くなってしまう。
「え!?水見?涙ぐんでない!?俺なんかヤバいこと言った!?」
「ち、違うんだ!これは…大丈夫!ただ…柏くんの言葉が嬉しくて…」
「っあはは!何お前〜そんなんで泣くとか可愛すぎだろ!」
やっぱり、この一時を大事にしたいし壊したくない。友達としてでも、柏くんの近くにいたい。彼の恋愛対象になれる訳がないんだから、だったらこのままの関係で一緒にいたいと思った。
だから、この気持ちはずっと隠したままでいよう。友達としてだとしても、俺を大事に思ってくれてるならそれに応えたいし俺も柏くんを大切にしたい。

