柏くんの美味しい愛し方


「よーし、集合ー!」

顧問が力いっぱい吹き込んだ笛の音が、体育館中に響き渡った。俺を含めた部員達が顧問の元に駆け足で集まっていく。

「じゃあ今日はここまで!明日からも夏の公式戦に向けて気合い入れていくぞ」
「お疲れ様でした!!」

大きな声で締めの挨拶を終えると、部員達はちりじりになって後片付けに取り掛かる。俺もボールを回収して片付けていた時、顧問に「ちょっといいか」と声をかけられた。

水見(みずみ)、お前最近集中力足りてないように見えるけど大丈夫か?」
「あ…、だ、大丈夫です」
「試合中のミスも目立つし、お前スタメンなんだからちゃんと自覚持って頑張れよ」
「はい、すみません」

当たっている。ここのとこ、確実に集中力が落ちている。それだけじゃなくて体力もバランス感覚も。その原因は自分が一番分かっている。

「はー…、でもどうしたらいいんだよ」

俺、水見葉留(みずみはる)はこの春、高2になった。高身長を活かして昔からバスケ部に入っていて、高校でも当たり前にバスケ部。そして頑張った甲斐あって、ありがたいことに2年でスタメンに選ばれた。

だけど、それを揺るがす誰にも言えない悩みを抱えている。

それは、『上手くご飯が食べられないこと』。

元々ストレスのせいなのか、あまり食事は好きではなかった。でもここまで食事を受け付けなくなってしまったのは去年からだ。この育ち盛りの時にしっかり食事を摂ることができないせいで、最近特に集中力が落ちてしまったりバスケ中にふらつくことが増えてしまった。

エナジーゼリーやサプリ、プロテイン等で補っていたがそろそろ限界なようだ。