⑤ハッピーバレンタイン
年が明けてからはあっという間に、寒さが最高潮の2月になった。バレンタインまではあと2週間。
「葵、バレンタインって空いてる? 」
ふたりきりで帰った僕のマンションの前で、優征くんは言った。
「空いてるよ」
「空けておいて。俺と過ごそう」
「……うん」
小さくなってしまったけれど、しっかりと頷いた。ただいま、と声をかけてマンションに入り、自室に直行する。
自分の部屋の窓からそっーと外を覗くと、優征くんの後ろ姿が見えた。小さく小さく見つめていると、一度振り返る気配があったので、僕は慌ててしゃがんで頭を引っ込めた。呼吸が聞こえるわけもないのに、息を潜めていた。それでも、ドクンドクン、と鳴る鼓動が届いてしまいそうで。大きく10数えて、僕はもう一度窓から外を見た。小さくなった規則正しい後ろ姿を、思う存分見つめる。僕はいい加減、自分の気持ちに気づいていた。
――優征くんのことが、好きだ。
いつからだったのか、はっきりとはわからない。転校してきてから約半年。一緒に過ごしてきて、好きになった。触れられたり、画面越しでさえ、何度でも新しくドキドキすることを恋と呼ぶのだと気づいている。
バレンタインチョコ渡そうかな、と考える。……これは告白? 優征くんも僕のことは嫌っていないと思う。友達としては、好かれていると思う。でも友達だと思っている相手が告白しても、困らせるだけかもしれない。……気持ち悪がられたら嫌だ。それに、好きな人がいると前に言っていたけれど。もしかしたら……、と思い上がる僕がいる。でも違ったらショックだ。もう隣を歩けない。友達のフリもできない。
告白はしない、と決める。手作りチョコを作ろう。でも決して、手作りだとバレないようにしよう。
僕は制服のままベッドに腰掛けた。レシピサイトを見て、あーでもない、こーでもない、と探る。市販のグミにチョコをかけるだけのレシピを見つける。優征くんと違って、僕は料理をさしてしたことがない。けれどこれならば出来そうだ。
チョコをかけて溶かすレシピを、僕は夢で見るくらい覚えてから、心を込めてグミチョコを作った。
年が明けてからはあっという間に、寒さが最高潮の2月になった。バレンタインまではあと2週間。
「葵、バレンタインって空いてる? 」
ふたりきりで帰った僕のマンションの前で、優征くんは言った。
「空いてるよ」
「空けておいて。俺と過ごそう」
「……うん」
小さくなってしまったけれど、しっかりと頷いた。ただいま、と声をかけてマンションに入り、自室に直行する。
自分の部屋の窓からそっーと外を覗くと、優征くんの後ろ姿が見えた。小さく小さく見つめていると、一度振り返る気配があったので、僕は慌ててしゃがんで頭を引っ込めた。呼吸が聞こえるわけもないのに、息を潜めていた。それでも、ドクンドクン、と鳴る鼓動が届いてしまいそうで。大きく10数えて、僕はもう一度窓から外を見た。小さくなった規則正しい後ろ姿を、思う存分見つめる。僕はいい加減、自分の気持ちに気づいていた。
――優征くんのことが、好きだ。
いつからだったのか、はっきりとはわからない。転校してきてから約半年。一緒に過ごしてきて、好きになった。触れられたり、画面越しでさえ、何度でも新しくドキドキすることを恋と呼ぶのだと気づいている。
バレンタインチョコ渡そうかな、と考える。……これは告白? 優征くんも僕のことは嫌っていないと思う。友達としては、好かれていると思う。でも友達だと思っている相手が告白しても、困らせるだけかもしれない。……気持ち悪がられたら嫌だ。それに、好きな人がいると前に言っていたけれど。もしかしたら……、と思い上がる僕がいる。でも違ったらショックだ。もう隣を歩けない。友達のフリもできない。
告白はしない、と決める。手作りチョコを作ろう。でも決して、手作りだとバレないようにしよう。
僕は制服のままベッドに腰掛けた。レシピサイトを見て、あーでもない、こーでもない、と探る。市販のグミにチョコをかけるだけのレシピを見つける。優征くんと違って、僕は料理をさしてしたことがない。けれどこれならば出来そうだ。
チョコをかけて溶かすレシピを、僕は夢で見るくらい覚えてから、心を込めてグミチョコを作った。
