高校1年生。初恋グミは優しい味でした。

お父さんが冬休みに入れば、車に揺られて野を越え山を越えて、田舎へ両親と帰った。着いてひと段落して、両親は荷解きを初めた。すると、おばあちゃんと2人きりになった。

「葵ちゃん、大きくなったわねぇ」

転校するまでは一緒に住んでいたおばあちゃんにそう涙ぐまれて、僕はびっくりした。

「大して身長伸びてないよ」

伸びない身長が悔しくて苦笑いで答えると、おばあちゃんは何度も視線を上下させてきた。

「そうかい? でも知らないところがたくさん増えた気がするんだよ」

おばあちゃんの言っていることがよくわからなくて、僕は首を捻った。

「葵ちゃんと一緒にいられなかった時間があるんだなって、わかるんだよ。これを寂しいっていうのかもねぇ」

ふっ、と笑ったおばあちゃん。言われてみれば、おばあちゃんもやたらと小さく見えた。急に玉手箱を開けてしまって、歳をとってしまったかのように。

「おばあちゃん……」

「なんてね。東京は楽しいかい? 葵ちゃん」

寂しいと言ってくれたおばちゃんに、楽しいと断言したら傷つける気がして、押し黙った。でも、楽しくないなんて言ったら心配をかけることも分かっているから、僕は結局言った。

「楽しいよ」

にこり、と笑う。こんなことしか言えなくてごめんなさい。

「それはよかった。どんなことがあったか聞かせてちょうだい」

うん、と答えて、おばあちゃんの作った料理を食べてたくさん話した。両親もおばあちゃんも僕の話を聞いて笑ってくれるから、僕の心はほこほこと温かくなった。それなのに、僕も初詣行きたかったな、と心の片隅でずっと考えてしまった。