探偵研究部。――カケラノセカイーー ② 部室争奪戦!

冷たいコンクリートの無機質な資料室の中で、佐藤刑事は鑑識の刑事と、顔を突き合わせていた。手元には証拠品として押収された、イワンが化学室で作った「びっくり箱」がある。

「本当に、これ、中学生が作ったんですか?」

 という鑑識の怪訝な顔に、佐藤は答える。

「中学生に化けた『何か』だ。説明を頼む」

 彼は一斗缶につけられた仕掛けを説明しだす。

「まずは驚くのはこのセンサーですね。特定の周波数成分に反応するようです。特定の人物の、声紋……といったほうが早いでしょうか」

「科学部の部長くんの話だと、直前に声を発したのは『有栖川美知』さんだった、という話だ。ほら、これ。件の美知さんの音声。学校で採ってきた」

 とスマホのレコーダーを再生する。

『探偵研究部でーす。ぜひ、ビラだけでももらってくださーい』

 はつらつとした明るい声だ。まさか、音声を採られているなんて微塵も疑ってはいなかったろう。
 そして、その声に反応して、ピーピー、とセンサーが反応して、ギュルルル……と駆動でモーターが回りだす。

「ビンゴか」

「それから、この絵の仕組み。絵具の表面にはあらかじめタンニンが混ぜられていて、酸化鉄を加えることで、血文字のようにどす黒く変化する……。ずいぶん、用意周到な犯人ですね。彼からの供述は?」

「まだだ。まるで人が変わったように、静かに、黙秘を続けている。有栖川のお嬢ちゃんも、奴の素顔を写真で見る限りは、『本人のようで、本人ではないかもしれない』と曖昧なことを言っているしな。まあ、七歳の頃の記憶なんて、あてにならないからな。――それよりも、なぜ上は、奴の護送を許可しなかったんだ?」

「さあ、鑑識ではわかりかねますよ。そればかりは……」

「なんか、裏がありそうだな。この事件」

 佐藤は横に倒された「びっくり箱」を眺めながら言う。
 キュルキュルと、車輪が動き続けていた――

 幕間 了