探偵研究部部長の小川とオカルト研究会会長の高杉は、部室をかけた一騎打ちをすることになった。
しかし、肝心の勝負の方法が決まらない。
「カードゲームで勝負だ!」
高杉は言う。心理戦なら得意と見える。
「いや、男らしく腕相撲だ!」
小川は指を鳴らした。腕力には自信がある。
――かれこれ、これだけで十数分すぎていた。
小川の大声に、いつの間にか他の部活の奴らも覗きにきて、部室のドア越しに成り行きを見守っている。
「さすがに人が集まりすぎ」
と智子。
「けんかになったらどうします?」
と未知。
「あの二人、幼馴染だからそれはないだろうけど、このまんまじゃ騒ぎになるな……」
と平屋。
小川が下級生三人をちらと見てから、
「もういい! こんなことしてても埒が明かない! 生徒会長に直談判だ!」
くるりと背中を向けた。高杉も、
「面白そうだ。乗った!」
とニヤニヤ笑いでついてくる。
こうして、小川、高杉は、マタロウがいる生徒会室へと向かうことになった。
生徒会長室に入ると、マタロウは机に突っ伏していた。
「マタロウ! お前、どうした!?」
小川が声をかけると、マタロウは顔を上げ、ごしごしと涙を拭いながら、二人を睨みつけ、詰め寄ってくる。
「おまえらな! そっちこそ、何やってんだよ! だ!!」
えらい剣幕に、小川と高杉は縮こまる。
「お前たちのせいだぞ! 部室を巡ってケンカまがいの言い争いなんかするから! 大騒ぎになってたんだぞ! しかも今! ついさっき! 校長先生に、『何とかしなさい』って、生徒会主導で、公平に問題が解決できるように、全校生徒が楽しめるイベント、今度の運動会にぶつけるから企画しろって言われたんだ! も――! ますます忙しくなっちまっただろうが!! この! 腐れ縁の疫病神ども!!」
マタロウの悲痛な叫びに、小川と高杉は顔を見合わせる。
先生方からの信頼の厚すぎるマタロウは、全権委任――もとい丸投げ、となったようだった。
「そりゃ、すまんかった」
小川が謝る横で高杉が、ひらめいたように指を鳴らした。
「おう、マタロウ! それなら、部活対抗トーナメントとかどうよ? 勝った部が優先的に部室をもらえるってのは!!」
高杉がそう提案すると、マタロウは驚いた表情で高杉を見つめた。
「部活対抗トーナメント……?」
高杉がちゃらちゃらとした身振り手振りで説明する。プレゼン能力だけは一流らしい。
「そうだ! 運動部、文化部、全校生徒を巻き込んで、部室を賭けた大運動会だ! 知力、体力、技術……あらゆる面で勝負する、一大イベントを企画するんだ! どーだ? 公平だろう? ほら、そこのやじ馬さんたちも、そう思うだろ?」
高杉は、生徒会室までついてきて事の成り行きを見守る他部の生徒たちを一瞥した。
柔道部の部長が言う。
「だが、もし負けたら、部室奪われるんだろ? そいつは死活問題だ!」
高杉は、目を細めて唇の片方を上げ、茶髪のハーフアップをなびかせて言う。
「おやあ? 校内最強の部活のくせに尻込みかなあ? おれたちの弱小に負けるの怖いとか?」
他部の生徒たちは声を揃えた。
「「負けるわけないだろ!!」」
「そうこなくちゃ! ……どうよ、マタロウ?」
高杉の言葉に、マタロウは目を輝かせ、机に置いてあった書類に何かを書き始めた。
「そうだ! それはいいアイデアだ! よし、すぐにPT(プロジェクトチーム)を作るぞ!」
マタロウはそう言って、すぐさま役員を招集した。副会長、書記たちも集まっての企画会議が開かれることになった。
成瀬今日子は、
「ネタバレ禁止のため、皆さんはしばらく生徒会室立ち入り禁止です」
と、表情筋を一度も動かさずピシャリと扉を閉めた。
高杉はうまいことマタロウを口車に乗せることができて、満足したようににやりと笑った。
こうして、なし崩し的に、学園総出の部活対抗トーナメントが始まることになった。
そんな訳で、探偵研究部も、本気モードだ。
小川は、グラウンドを走り込んでいたし、未知は、バスケのシュート練習。
「体力お化けにはついていけない……」
と、しばらく小川に付いて走りこんでいた平屋は、すでにへばって座っていた。タブレットを開くと、先ほど未知に説明した「海の生物」が画面に映る。すぐに消そうとしたが、その手が止まる。
「コウイカ……」
何かに気づいて、すぐに平屋は部室に戻った。そしてしばらくは鏡の前にいて、ぶつぶつつぶやいている。タブレットの画面には「コウイカの生存戦略」と書かれていた。
「男の骨格……手の大きさ」
そして、指先を手のひらに折り曲げて、軽いグーのポーズを取り、口元に当てる。そして、ウインクの練習をする。
「いける……これは、いけるぞ!」
……いや、何が!?
しかし、肝心の勝負の方法が決まらない。
「カードゲームで勝負だ!」
高杉は言う。心理戦なら得意と見える。
「いや、男らしく腕相撲だ!」
小川は指を鳴らした。腕力には自信がある。
――かれこれ、これだけで十数分すぎていた。
小川の大声に、いつの間にか他の部活の奴らも覗きにきて、部室のドア越しに成り行きを見守っている。
「さすがに人が集まりすぎ」
と智子。
「けんかになったらどうします?」
と未知。
「あの二人、幼馴染だからそれはないだろうけど、このまんまじゃ騒ぎになるな……」
と平屋。
小川が下級生三人をちらと見てから、
「もういい! こんなことしてても埒が明かない! 生徒会長に直談判だ!」
くるりと背中を向けた。高杉も、
「面白そうだ。乗った!」
とニヤニヤ笑いでついてくる。
こうして、小川、高杉は、マタロウがいる生徒会室へと向かうことになった。
生徒会長室に入ると、マタロウは机に突っ伏していた。
「マタロウ! お前、どうした!?」
小川が声をかけると、マタロウは顔を上げ、ごしごしと涙を拭いながら、二人を睨みつけ、詰め寄ってくる。
「おまえらな! そっちこそ、何やってんだよ! だ!!」
えらい剣幕に、小川と高杉は縮こまる。
「お前たちのせいだぞ! 部室を巡ってケンカまがいの言い争いなんかするから! 大騒ぎになってたんだぞ! しかも今! ついさっき! 校長先生に、『何とかしなさい』って、生徒会主導で、公平に問題が解決できるように、全校生徒が楽しめるイベント、今度の運動会にぶつけるから企画しろって言われたんだ! も――! ますます忙しくなっちまっただろうが!! この! 腐れ縁の疫病神ども!!」
マタロウの悲痛な叫びに、小川と高杉は顔を見合わせる。
先生方からの信頼の厚すぎるマタロウは、全権委任――もとい丸投げ、となったようだった。
「そりゃ、すまんかった」
小川が謝る横で高杉が、ひらめいたように指を鳴らした。
「おう、マタロウ! それなら、部活対抗トーナメントとかどうよ? 勝った部が優先的に部室をもらえるってのは!!」
高杉がそう提案すると、マタロウは驚いた表情で高杉を見つめた。
「部活対抗トーナメント……?」
高杉がちゃらちゃらとした身振り手振りで説明する。プレゼン能力だけは一流らしい。
「そうだ! 運動部、文化部、全校生徒を巻き込んで、部室を賭けた大運動会だ! 知力、体力、技術……あらゆる面で勝負する、一大イベントを企画するんだ! どーだ? 公平だろう? ほら、そこのやじ馬さんたちも、そう思うだろ?」
高杉は、生徒会室までついてきて事の成り行きを見守る他部の生徒たちを一瞥した。
柔道部の部長が言う。
「だが、もし負けたら、部室奪われるんだろ? そいつは死活問題だ!」
高杉は、目を細めて唇の片方を上げ、茶髪のハーフアップをなびかせて言う。
「おやあ? 校内最強の部活のくせに尻込みかなあ? おれたちの弱小に負けるの怖いとか?」
他部の生徒たちは声を揃えた。
「「負けるわけないだろ!!」」
「そうこなくちゃ! ……どうよ、マタロウ?」
高杉の言葉に、マタロウは目を輝かせ、机に置いてあった書類に何かを書き始めた。
「そうだ! それはいいアイデアだ! よし、すぐにPT(プロジェクトチーム)を作るぞ!」
マタロウはそう言って、すぐさま役員を招集した。副会長、書記たちも集まっての企画会議が開かれることになった。
成瀬今日子は、
「ネタバレ禁止のため、皆さんはしばらく生徒会室立ち入り禁止です」
と、表情筋を一度も動かさずピシャリと扉を閉めた。
高杉はうまいことマタロウを口車に乗せることができて、満足したようににやりと笑った。
こうして、なし崩し的に、学園総出の部活対抗トーナメントが始まることになった。
そんな訳で、探偵研究部も、本気モードだ。
小川は、グラウンドを走り込んでいたし、未知は、バスケのシュート練習。
「体力お化けにはついていけない……」
と、しばらく小川に付いて走りこんでいた平屋は、すでにへばって座っていた。タブレットを開くと、先ほど未知に説明した「海の生物」が画面に映る。すぐに消そうとしたが、その手が止まる。
「コウイカ……」
何かに気づいて、すぐに平屋は部室に戻った。そしてしばらくは鏡の前にいて、ぶつぶつつぶやいている。タブレットの画面には「コウイカの生存戦略」と書かれていた。
「男の骨格……手の大きさ」
そして、指先を手のひらに折り曲げて、軽いグーのポーズを取り、口元に当てる。そして、ウインクの練習をする。
「いける……これは、いけるぞ!」
……いや、何が!?

