俺たちはランチを食べにレストランへと向かっていた
「おい!誰の許可を得てここで物なんか売ってんだ、ぇえ?!」
「ここは俺たちが管理してる場所だぜ、ガキぃ」
「で、でもここはお貴族様の土地で……」
「ぁあ"?なんだ俺たちに刃向かおうってのか、ぇえ?!」
輩が子供の胸ぐらを掴んでいる
なんだか物騒な場面に遭遇してしまった
前の俺だったらこういう場面に遭遇したとき、きっと目をつけられないように静かにそこを去っていたと思う……でも、
「おい、その手を離せ」
俺が声をかけるより先にベニートが輩の手を掴んで制止していた
え、ここは俺が出る幕じゃないのか。そうか、なんかホッとした
「あ、さっきのお貴族様たち!よかった、助けて」
よく見るとさっき宿に案内してくれた少年ではないか!奇遇だな~とか気楽なことを思っていると
「けっお貴族様だぁ~?貴族が自分の足で歩くなんて怪しいぜ」
「確かにな、どうせその服もどっかで盗んできたものなんだろうよ、俺たちのように。ふへへ」
と、気味の悪い笑い方をする連中
俺たちはお貴族様ではないけど、盗みなんてしないぜ!と俺は憤慨する
「ミチル、いま大事なのはそこじゃないと思う」
「え、なに?」
ランがなにやら白けた目で俺を見ていたが、気にせず続ける
「おい!その手を離さないと容赦しないぞ!……ベニートが!」
どやっと俺は腕組みしてみせる
ベニートは強い。本の虫であるベニートは文字通り本ばかり読んでいるイメージがあるが、実は剣士である。そういえば、前にもチラッと言ったことあった気がするけど忘れている人に向けて改めて紹介すると、
名前: ベニート
年齢: 俺よりひとつ上の19歳
身長: 183cm
肩幅: 広め
スキル: 剣士
スキルレベル: 78
その他: 本の虫。襟足長めの赤髪がトレードマーク。太陽にキスされた肌がセクシー。
いや、最後の一文いる?
ということで、
「おいっそこをどけ!俺たちが話してんのはそのガキだ」
「この少年と話すなら俺を倒してからにしろ」
ベニートがそう言うと、連中のひとりが腕を振りかぶった
「そこをどけって言ってるのが分からないのかー!」
ベニートはその腕をふっと避け掴むとそのまま相手の力を利用して流すように地面へと叩きつけた
「ふげぇっ!!」
そしてなぜかもうひとりも巻き込まれて
「いたたたた!!」
連中が絡まって地面に倒れた
おお、いつの間にやらベニートが剣術以外の能力も手に入れている。俺は驚いた、しかもなんか既視感を感じた
「ねぇベニート、それなんていう技なの?」
「技名は分からないが、和梨国についての本で読んだ。確かアイキドーとか言うらしい」
「へぇー……」
なるほど、だからなんか見たことあったんだな。俺は静かに納得した。
その間に連中がこそこそ逃げ道を探っていた
「い、いまだ逃げろっ」
「お、覚えてろよ!」
ダァーっと走って行ったのだった
俺たちはそれを見送って少年に向き直る
「少年、怪我はないか?」
「う、うん!助けてくれてありがとう。えと……赤髪の騎士さん!」
ん?ナイト……?確かにベニートにぴったりかも
「俺は騎士じゃないぞ」
「いいじゃん、騎士。かっこいい」
俺は思ったことを言ってみる
「そうか?ミチルがそう言うなら」
素直でよろしい
「ところで……えと、君の名前はなに?俺はミチル。こっちはベニートでこっちがラン。それと……」
「我はチンチラぞ」
「チンチラさんです」
「うわぁーなにこの生き物、モフモフ~」
「こ、これ!許可もなくモフモフするでない!」
「いいじゃないですか、チンチラさん」
「そうですよ、満更でもないんでしょう?」
「う、うむ。子供は嫌いではない」
素直じゃないな~まったく
「あ、僕の名前はジャン!改めまして、助けてくれてありがとう。みんなお腹すいてない?お礼にこの辺りで評判のレストランを紹介するよ!」
「おお、それは助かる」
「ちょうどレストランを探していたところだよ」
「ジャン、案内してくれる?」
「うん!まかせて」
俺たちはジャンについていくことにした
「ここだよ」
そこは、外観は他のレンガ造りの建物とそう変わらないが、ひとつ決定的に違うことがある。匂いだ。懐かしいあの匂いがする
カランカラン
「いらっしゃい、あらジャン!久しぶりだね……その人たちは?」
「サラ!この人たちは……えと……」
「あ、俺たちはジャンの友人。ジャンにここを紹介してもらったんだ」
俺がそう言うと、サラと呼ばれたウェイトレスの彼女は
「ジャン!あんた、なんかしたの?脅されてる?」
と、ジャンに耳打ちで聞いていた
めちゃくちゃ聞こえてるけどね、はは
「大丈夫だよ、サラ。この人たちは気さくな貴族様だよ」
そう言ってジャンは俺たちを席に案内してくれた
俺たちはそこに座る。しかし……
「……なんか、見られてるな」
「うん、やっぱり俺たち浮いてる?」
周りからちらちらと視線を感じる
まぁ、席を立たないでいてくれるだけマシか
そう思って俺はできるだけ気にしないように努める
「ここはね、カレーが美味しいんだよ!」
カレー!!やっぱり!久しぶりだ、ざっと12年ぶり
「カレー大好き!」
「え、カレー食べたことあるの?」
「あるよ!」
「へぇ~ミチルたちってやっぱり変わった貴族様だね」
え……貴族ってカレー食べないの?あんな美味しいものを?もったいない!
しばらくしてどんなに食欲のない日でも強制的に食欲を掻き立てるあの魅惑の匂いが漂ってきた
「はい、カレー4人前。お待ち!」
「あ、あれスプーンは?」
「ははっやっぱりそこは貴族様だね!ここには基本的にスプーンやフォークはないよ。手で食べるんだ」
「手で?」
「そうなのか」
「へぇー初めて知った、そんな文化があるんだね」
俺とベニートとランは少し戸惑ったが、郷に入れば郷に従え。ジャンがするように手で食べてみた
ぱくっ
すると、周りがシーン……一瞬静まり返る
次の瞬間、わぁぁぁぁあ!!
急に歓声が沸き起こった
「なんだなんだ?」
「なにが起こった?」
「俺たち、何かした?」
「あんたたちが自分たちと同じものを同じように食べてることが嬉しいんだよ。こんなこと普通ありえないからね」
「そうなんだ、確かに自分たちの文化を尊重してもらった感じがして嬉しいかも」
俺ももといた世界でインバウンドの観光客の人とかが納豆とかチャレンジしてくれたら嬉しかったもんな……でも、納豆はともかく
「なんでこんなに美味しいものを食べないんだろ」
「カレーは移民の食べ物だから生粋のベリー人は食べないよ。しかも辛いからね」
サラさんが教えてくれた
「ジャンは食べてますよね」
「俺のは特別に辛さレベル0にしてもらってるから!」
と、得意気にジャンが食べてみせた次の瞬間
ガシャンッ
「何が同じようにだ!そんな贅沢品ばかり身につけてズカズカと俺たちのテリトリーに入ってきやがって!貴族なんてみんな同じだろ」
ひとりの男が声を荒立てた
酒を飲んでいるようだ
「アーディル……気にしないでちょうだい、彼は街の外れで飲食店を営んでいたんだけど貴族に無理矢理土地を奪われたの、根に持つのは仕方ないと思うけどあんたたちには関係ない。悪いね……これ、よかったら食べてサービスだよ」
そう言ってサラさんはマンゴーを出してくれた
とっても甘くて苦い話を緩和してくれた
俺たちは返す言葉が出てこず、黙々とカレーとマンゴーを交互に舌の上に乗せる
そんな俺たちを碧の瞳が店の隅のテーブルからじっと見つめていた
「おい!誰の許可を得てここで物なんか売ってんだ、ぇえ?!」
「ここは俺たちが管理してる場所だぜ、ガキぃ」
「で、でもここはお貴族様の土地で……」
「ぁあ"?なんだ俺たちに刃向かおうってのか、ぇえ?!」
輩が子供の胸ぐらを掴んでいる
なんだか物騒な場面に遭遇してしまった
前の俺だったらこういう場面に遭遇したとき、きっと目をつけられないように静かにそこを去っていたと思う……でも、
「おい、その手を離せ」
俺が声をかけるより先にベニートが輩の手を掴んで制止していた
え、ここは俺が出る幕じゃないのか。そうか、なんかホッとした
「あ、さっきのお貴族様たち!よかった、助けて」
よく見るとさっき宿に案内してくれた少年ではないか!奇遇だな~とか気楽なことを思っていると
「けっお貴族様だぁ~?貴族が自分の足で歩くなんて怪しいぜ」
「確かにな、どうせその服もどっかで盗んできたものなんだろうよ、俺たちのように。ふへへ」
と、気味の悪い笑い方をする連中
俺たちはお貴族様ではないけど、盗みなんてしないぜ!と俺は憤慨する
「ミチル、いま大事なのはそこじゃないと思う」
「え、なに?」
ランがなにやら白けた目で俺を見ていたが、気にせず続ける
「おい!その手を離さないと容赦しないぞ!……ベニートが!」
どやっと俺は腕組みしてみせる
ベニートは強い。本の虫であるベニートは文字通り本ばかり読んでいるイメージがあるが、実は剣士である。そういえば、前にもチラッと言ったことあった気がするけど忘れている人に向けて改めて紹介すると、
名前: ベニート
年齢: 俺よりひとつ上の19歳
身長: 183cm
肩幅: 広め
スキル: 剣士
スキルレベル: 78
その他: 本の虫。襟足長めの赤髪がトレードマーク。太陽にキスされた肌がセクシー。
いや、最後の一文いる?
ということで、
「おいっそこをどけ!俺たちが話してんのはそのガキだ」
「この少年と話すなら俺を倒してからにしろ」
ベニートがそう言うと、連中のひとりが腕を振りかぶった
「そこをどけって言ってるのが分からないのかー!」
ベニートはその腕をふっと避け掴むとそのまま相手の力を利用して流すように地面へと叩きつけた
「ふげぇっ!!」
そしてなぜかもうひとりも巻き込まれて
「いたたたた!!」
連中が絡まって地面に倒れた
おお、いつの間にやらベニートが剣術以外の能力も手に入れている。俺は驚いた、しかもなんか既視感を感じた
「ねぇベニート、それなんていう技なの?」
「技名は分からないが、和梨国についての本で読んだ。確かアイキドーとか言うらしい」
「へぇー……」
なるほど、だからなんか見たことあったんだな。俺は静かに納得した。
その間に連中がこそこそ逃げ道を探っていた
「い、いまだ逃げろっ」
「お、覚えてろよ!」
ダァーっと走って行ったのだった
俺たちはそれを見送って少年に向き直る
「少年、怪我はないか?」
「う、うん!助けてくれてありがとう。えと……赤髪の騎士さん!」
ん?ナイト……?確かにベニートにぴったりかも
「俺は騎士じゃないぞ」
「いいじゃん、騎士。かっこいい」
俺は思ったことを言ってみる
「そうか?ミチルがそう言うなら」
素直でよろしい
「ところで……えと、君の名前はなに?俺はミチル。こっちはベニートでこっちがラン。それと……」
「我はチンチラぞ」
「チンチラさんです」
「うわぁーなにこの生き物、モフモフ~」
「こ、これ!許可もなくモフモフするでない!」
「いいじゃないですか、チンチラさん」
「そうですよ、満更でもないんでしょう?」
「う、うむ。子供は嫌いではない」
素直じゃないな~まったく
「あ、僕の名前はジャン!改めまして、助けてくれてありがとう。みんなお腹すいてない?お礼にこの辺りで評判のレストランを紹介するよ!」
「おお、それは助かる」
「ちょうどレストランを探していたところだよ」
「ジャン、案内してくれる?」
「うん!まかせて」
俺たちはジャンについていくことにした
「ここだよ」
そこは、外観は他のレンガ造りの建物とそう変わらないが、ひとつ決定的に違うことがある。匂いだ。懐かしいあの匂いがする
カランカラン
「いらっしゃい、あらジャン!久しぶりだね……その人たちは?」
「サラ!この人たちは……えと……」
「あ、俺たちはジャンの友人。ジャンにここを紹介してもらったんだ」
俺がそう言うと、サラと呼ばれたウェイトレスの彼女は
「ジャン!あんた、なんかしたの?脅されてる?」
と、ジャンに耳打ちで聞いていた
めちゃくちゃ聞こえてるけどね、はは
「大丈夫だよ、サラ。この人たちは気さくな貴族様だよ」
そう言ってジャンは俺たちを席に案内してくれた
俺たちはそこに座る。しかし……
「……なんか、見られてるな」
「うん、やっぱり俺たち浮いてる?」
周りからちらちらと視線を感じる
まぁ、席を立たないでいてくれるだけマシか
そう思って俺はできるだけ気にしないように努める
「ここはね、カレーが美味しいんだよ!」
カレー!!やっぱり!久しぶりだ、ざっと12年ぶり
「カレー大好き!」
「え、カレー食べたことあるの?」
「あるよ!」
「へぇ~ミチルたちってやっぱり変わった貴族様だね」
え……貴族ってカレー食べないの?あんな美味しいものを?もったいない!
しばらくしてどんなに食欲のない日でも強制的に食欲を掻き立てるあの魅惑の匂いが漂ってきた
「はい、カレー4人前。お待ち!」
「あ、あれスプーンは?」
「ははっやっぱりそこは貴族様だね!ここには基本的にスプーンやフォークはないよ。手で食べるんだ」
「手で?」
「そうなのか」
「へぇー初めて知った、そんな文化があるんだね」
俺とベニートとランは少し戸惑ったが、郷に入れば郷に従え。ジャンがするように手で食べてみた
ぱくっ
すると、周りがシーン……一瞬静まり返る
次の瞬間、わぁぁぁぁあ!!
急に歓声が沸き起こった
「なんだなんだ?」
「なにが起こった?」
「俺たち、何かした?」
「あんたたちが自分たちと同じものを同じように食べてることが嬉しいんだよ。こんなこと普通ありえないからね」
「そうなんだ、確かに自分たちの文化を尊重してもらった感じがして嬉しいかも」
俺ももといた世界でインバウンドの観光客の人とかが納豆とかチャレンジしてくれたら嬉しかったもんな……でも、納豆はともかく
「なんでこんなに美味しいものを食べないんだろ」
「カレーは移民の食べ物だから生粋のベリー人は食べないよ。しかも辛いからね」
サラさんが教えてくれた
「ジャンは食べてますよね」
「俺のは特別に辛さレベル0にしてもらってるから!」
と、得意気にジャンが食べてみせた次の瞬間
ガシャンッ
「何が同じようにだ!そんな贅沢品ばかり身につけてズカズカと俺たちのテリトリーに入ってきやがって!貴族なんてみんな同じだろ」
ひとりの男が声を荒立てた
酒を飲んでいるようだ
「アーディル……気にしないでちょうだい、彼は街の外れで飲食店を営んでいたんだけど貴族に無理矢理土地を奪われたの、根に持つのは仕方ないと思うけどあんたたちには関係ない。悪いね……これ、よかったら食べてサービスだよ」
そう言ってサラさんはマンゴーを出してくれた
とっても甘くて苦い話を緩和してくれた
俺たちは返す言葉が出てこず、黙々とカレーとマンゴーを交互に舌の上に乗せる
そんな俺たちを碧の瞳が店の隅のテーブルからじっと見つめていた
