午後の日記帳 2026

2026年6月25日(木)


「あっ」

 父が声をあげました。ふだんは細められている目が黒豆のようにまんまるになって、わたしと母のあいだを行き来しています。

 ちょっぴりせまい食卓には、にくじゃが、ご飯のタッパー、お昼ののこりのやきそば、母が出張へ行ったときに買ってきてくれた琉球硝子のコップ、などなど。なんだか参勤交代みたいだ、とわたしはときどき思ったりします。

 わたしはお箸を止めて父を見やりました。手には強炭酸のペットボトル。母がまちがって父のビールを凍らしてしまったので、ひさびさに炭酸割りでも呑むかといって登場したのです。

「これ、飲んでみ」

 父はまず、母にペットボトルを差し出しました。なによ、どうしたのと言いながら、母はそれをごくりと飲みます。

「あっ」

 母の目も、黒豆のようになりました。父がわたしをさして、母がわたしにペットボトルを渡します。

「なになに?」

「いいから、飲んでみ」

「これ、炭酸でしょ。わたし飲めないよ」

 首をかしげるわたしに、母も「いいからいいから」とすすめます。わかった、と応じて、プラスチックの円に口をつけました。

「あっ」

 わたしの目も、黒豆よろしくまんまるになっていたことでしょう。

「これ、ただのお水じゃない!」