午後の日記帳 2026

2026年5月17日(日)


 お風呂の温かい気配を背に、わたしはシャツのボタンに手をかけました。脱衣所へ入ると、わたしは決まって鏡へ向かいます。

 わたしの髪の長さは、文章に表すとどうなるのかしら。

 決まって、そんな疑問を浮かべながら。

「胸がぜんぶ隠れるくらい」

 胸がどこまでなのかは、ひとそれぞれのような気がします。

「おへそよりちょっぴり短いくらい」

 せっかく伸ばした髪なので、「短い」という言葉を使うのはなんだかもったいない気がしました。

「あばら骨をすべて覆ってしまうくらい」

 結局いつも、これにこくんとうなずきます。まるでここが帰る場所ででもあるかのように、ほっとしながら。

「——髪、切りたいな」

 しばしば襲いかかるその衝動に、わたしはため息をつきました。

 特段、洗うのが面倒なわけではありません。洗うのは髪自体ではなく頭の皮膚で、だから髪は長かろうと短かろうと変わらないのです。

 いくら愛していても、ときどきわっといって逃げ出したくなるもの。

 わたしは大袈裟な音を立てて、お風呂の扉を開きました。石鹸と薬湯の夕方七時の匂いが、そこにありました。