思い出さなければよかったのに

 * * *

『俺の写真が大賞をとった。帰る』

 突然届いた彼からのメッセージ。
 ほんの短いその一文が、どんな長文よりも価値あるラブレターだった。

『おめでとう、待っています』

 震える指で打ち込んで、涙で顔をクシャクシャにしながら送った返事。

 今の私の顔を見たら、きっと雄大は「ブサイクだな」と笑うだろう。
それでもいい、早く会いたい……と思った。

 ――もうすぐ会えるんだ……。

 そう考えたら、もっと顔がグシャグシャになる。
 雄大に涙を拭いてもらう姿を想像したら、とうとう感情が決壊した。
 両手で顔を覆って、声をあげて泣いた。

『もうすぐ帰るから』
『うん、待ってる』

 成田空港からメッセージが届く。
 いよいよだ。ドキドキしながらマンションで待機する。

 この日のために半日のお休みをもらった。
 昨日美容院に行って毛先だけカットした。
 お洒落なワンピースを着て、化粧は濃すぎず薄すぎず。

 三年ぶりに会ったらいい女になってたって言わせてやるんだから。

 だけど……。

 次に届いたのは、雄大の母親から聞かされた悲報だった。
 心臓が凍りつき、私の夢は砕け散った。