彩乃はモテるくせに誰と付き合うでもなく、いつも俺を追いかけてきた。
俺達はクラスが違ったものの教室は隣同士だったから、廊下で俺を見かければ彩乃の方から駆け寄って背中に飛びついてきたし、俺が体育の授業でグラウンドを走っていれば、窓から「雄大、ファイト〜!」なんて大声を張り上げて、周りをまったく気にせず手をブンブン振ってくる。
そんなことが日常茶飯事でアイツの通常運転だったから、男子生徒達は俺を羨ましがりながらも、『まぁ、幼馴染ならしょうがないな』と、仲良し兄妹を見ているような感覚で、俺達を生温かく見守ってくれていた。
世間的には、どちらかというと彩乃のほうが一方的に俺に纏わりついていて、迷惑がろうが恥ずかしがろうがお構いなしのアイツに俺が振り回されている図に見えていたと思う。
だけど本当は俺がそれを喜んで受け入れていて、ずっとこのままでいたいと望んでいたんだ。
高校で俺が写真部に入ったのは、友達に誘われたという単純な理由から。
俺は元々写真に興味があったわけでもなく、カメラに関してはまったくのド素人だった。
俺達の通っていた高校は部活に力を入れていて、生徒は全員何かしらの部活に所属していなくてはならない。
熱血スポ根の青春を目指していない生徒は必然的に文化系の部活を選ぶことになり、そのなかでも幽霊部員狙いの奴らは緩そうな部活に入る。
だから週に二日しか活動日がない写真部は狙い目だと思われやすく、仮入部には俺達を含め、結構な数の新入生が集まっていた。
「――写真部の活動日は月曜日と水曜日の週二回ですが、その日は余程の理由がない限り、きっちり顔をだしてもらいます。それ以外の曜日にも写真を持ち寄って意見交換したり、暗室作業など、自主活動をしていただいて構いません」
屋外での撮影会や文化祭での展示のほかにも、行事ごとに担当を決めて活動風景の撮影に出向く。
更に外部のコンクールでの入賞を目指して本格的な活動をしている……と、部長の成瀬駿先輩が説明すると、大半の生徒が『予想と違った』という表情で顔を見合わせはじめた。
「部が所有している貸し出し用のカメラがありますが、入部したら自前の一眼レフがあったほうがいいと思います。自分のカメラで手入れの仕方から覚えたほうがいい」
ここでさらにザワつきが大きくなり、「マジかよ」とか「金が掛かるのは無理」なんて呟きが聞こえてくる。
隣にいた俺の友達も、こちらを見ながら申しわけなさそうに「なんか想像と違ったな」とポツリと零す。
そして彼は案の定、『読書クラブ』なる、本を読んで時間潰しするだけの楽な部にサッサと移っていった。
俺達はクラスが違ったものの教室は隣同士だったから、廊下で俺を見かければ彩乃の方から駆け寄って背中に飛びついてきたし、俺が体育の授業でグラウンドを走っていれば、窓から「雄大、ファイト〜!」なんて大声を張り上げて、周りをまったく気にせず手をブンブン振ってくる。
そんなことが日常茶飯事でアイツの通常運転だったから、男子生徒達は俺を羨ましがりながらも、『まぁ、幼馴染ならしょうがないな』と、仲良し兄妹を見ているような感覚で、俺達を生温かく見守ってくれていた。
世間的には、どちらかというと彩乃のほうが一方的に俺に纏わりついていて、迷惑がろうが恥ずかしがろうがお構いなしのアイツに俺が振り回されている図に見えていたと思う。
だけど本当は俺がそれを喜んで受け入れていて、ずっとこのままでいたいと望んでいたんだ。
高校で俺が写真部に入ったのは、友達に誘われたという単純な理由から。
俺は元々写真に興味があったわけでもなく、カメラに関してはまったくのド素人だった。
俺達の通っていた高校は部活に力を入れていて、生徒は全員何かしらの部活に所属していなくてはならない。
熱血スポ根の青春を目指していない生徒は必然的に文化系の部活を選ぶことになり、そのなかでも幽霊部員狙いの奴らは緩そうな部活に入る。
だから週に二日しか活動日がない写真部は狙い目だと思われやすく、仮入部には俺達を含め、結構な数の新入生が集まっていた。
「――写真部の活動日は月曜日と水曜日の週二回ですが、その日は余程の理由がない限り、きっちり顔をだしてもらいます。それ以外の曜日にも写真を持ち寄って意見交換したり、暗室作業など、自主活動をしていただいて構いません」
屋外での撮影会や文化祭での展示のほかにも、行事ごとに担当を決めて活動風景の撮影に出向く。
更に外部のコンクールでの入賞を目指して本格的な活動をしている……と、部長の成瀬駿先輩が説明すると、大半の生徒が『予想と違った』という表情で顔を見合わせはじめた。
「部が所有している貸し出し用のカメラがありますが、入部したら自前の一眼レフがあったほうがいいと思います。自分のカメラで手入れの仕方から覚えたほうがいい」
ここでさらにザワつきが大きくなり、「マジかよ」とか「金が掛かるのは無理」なんて呟きが聞こえてくる。
隣にいた俺の友達も、こちらを見ながら申しわけなさそうに「なんか想像と違ったな」とポツリと零す。
そして彼は案の定、『読書クラブ』なる、本を読んで時間潰しするだけの楽な部にサッサと移っていった。
