思い出さなければよかったのに

 目の前で白い閃光(せんこう)が弾け、思わず目蓋を閉じた。
 それでもなお目蓋の外からの強い光を感じ、眩しさにクラクラする。

 眉間(みけん)をギュッと指で押さえて(うつむ)く。
 しばらく肩で荒い息を繰り返していると、徐々に呼吸が楽になってきた。

 ゆっくり目を開けたそこには……懐かしい部室の景色と、高校の制服を着た自分がいる。

 ――これは……夢なのか?

『君達って付き合ってるの?』
『いえ、俺達は……』
『だったら僕が彼女にモデルを頼んでも構わないよね?』

 ――違う、これは夢なんかじゃない。俺の記憶そのものだ。

 だってこのあとに起こることを俺は知っている。
 だとしたら、これから俺は……。

 ――駄目だ! 断れ! 彼女は俺のだって、モデルなんてさせないって言うんだ! そうじゃないと……。

 必死に叫ぶ俺を無視して、高校生の俺が口をひらく。

『別にいいんじゃないですか? 俺の許可なんて必要ないですよ』

 三階建ての白い校舎。
 校庭に流れるアップテンポな洋楽。
 カーテンを揺らすそよ風に乗って、ダンス部員たちの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

 そう、これは……高校一年生の夏の記憶だ。