* * *
夏に彩乃が出演したコマーシャルが、テレビ局主催のCM大賞で最優秀作品賞を受賞した。
以前彩乃が出演した炭酸飲料のCMの第二弾。
これは前回の続編とも言えるもので、母校の教師になった彩乃が校舎の窓からダンス部の練習風景を眺め、懐かしさにホロリと涙を零すというストーリー仕立てになっていた。
軽快な曲に合わせて踊るダンス部の生徒たち。
彼女たちの影が、夕焼けに照らされるグラウンドに長く伸びている。
廊下を歩いてきた彩乃が立ち止まり、二階から見下ろす。
若かりし日の、夢と希望に溢れていた自分の姿が蘇り、ここで第一弾のCMのダンスシーンが流れる。
サラサラと風になびく彩乃の髪が、夕日を受けてオレンジ色と黄金色に輝いている。
陰影のついた横顔。頬をツーッと伝う一筋の涙。
彼女はペットボトルの蓋をひねり、炭酸飲料を一口飲んでから、グイッと右手で涙を拭う。
『よしっ、頑張ろっと!』
画面には学校全景が映しだされる。
夕焼けに照らされた校舎。背筋を伸ばして廊下を歩いて行く彩乃。
手前のグラウンドでは炭酸飲料を飲みながらはしゃぎ、円になってお喋りしているダンス部員。
『涙ホロリ、思い出キラリ、心にシュワッと沁み渡る……君の青春はここにある』
最後にナレーションとともに商品名が告げられて終わるこのCMは、放映直後から反響を呼び、メイキング風景を映した動画サイトの驚異的な再生数も話題にあがった。
前回の、ダンスと青春を前面に出した明るいものから一転して、今回は過ぎ去った青春の日々に想いを馳せる、甘酸っぱくも苦く切ないストーリー仕立て。
『教師となった彼女に何が起こったのかは一切語られない。けれど頬を流れる一筋の涙が、仕事の悩みや社会人としての苦悩、そして青春時代への追憶を全て表現している』
『CMというよりも、もはやショートムービーと言ってもいいだろう。見たあとはノスタルジックな気持ちにさせられる。そしてまた見たくなる』
『前回のCMと上手くリンクさせつつ、動と静で楽しかった若かりし青春の日々と悩める社会人の日々の対比をうまく表現している』
世の評論家の評判も上々で、SNSやブログにはいくつもの褒め言葉が並んだ。
もちろん商品自体の売り上げもよく、購買層のターゲットを十代の若者のみから広範囲に広げ、それが大成功をおさめた形となった。
表彰式は翌年の二月下旬に汐留のテレビ局で行われた。
表彰式自体はテレビ中継されなかったものの、そのときの様子は夕方のニュースやワイドショーで繰り返し流されていた。
俺も仕事から帰ってつけたテレビで何度も目にすることになる。
CM制作に携わったスタッフの中央にワインレッドのドレスを着た彩乃が立ち、代表して盾を受け取っている。
隣には黒いスーツでカッチリとキメた成瀬先輩の姿もあった。彼は今回もスチールカメラマンとしてCMに参加していたのだ。
夏に彩乃が出演したコマーシャルが、テレビ局主催のCM大賞で最優秀作品賞を受賞した。
以前彩乃が出演した炭酸飲料のCMの第二弾。
これは前回の続編とも言えるもので、母校の教師になった彩乃が校舎の窓からダンス部の練習風景を眺め、懐かしさにホロリと涙を零すというストーリー仕立てになっていた。
軽快な曲に合わせて踊るダンス部の生徒たち。
彼女たちの影が、夕焼けに照らされるグラウンドに長く伸びている。
廊下を歩いてきた彩乃が立ち止まり、二階から見下ろす。
若かりし日の、夢と希望に溢れていた自分の姿が蘇り、ここで第一弾のCMのダンスシーンが流れる。
サラサラと風になびく彩乃の髪が、夕日を受けてオレンジ色と黄金色に輝いている。
陰影のついた横顔。頬をツーッと伝う一筋の涙。
彼女はペットボトルの蓋をひねり、炭酸飲料を一口飲んでから、グイッと右手で涙を拭う。
『よしっ、頑張ろっと!』
画面には学校全景が映しだされる。
夕焼けに照らされた校舎。背筋を伸ばして廊下を歩いて行く彩乃。
手前のグラウンドでは炭酸飲料を飲みながらはしゃぎ、円になってお喋りしているダンス部員。
『涙ホロリ、思い出キラリ、心にシュワッと沁み渡る……君の青春はここにある』
最後にナレーションとともに商品名が告げられて終わるこのCMは、放映直後から反響を呼び、メイキング風景を映した動画サイトの驚異的な再生数も話題にあがった。
前回の、ダンスと青春を前面に出した明るいものから一転して、今回は過ぎ去った青春の日々に想いを馳せる、甘酸っぱくも苦く切ないストーリー仕立て。
『教師となった彼女に何が起こったのかは一切語られない。けれど頬を流れる一筋の涙が、仕事の悩みや社会人としての苦悩、そして青春時代への追憶を全て表現している』
『CMというよりも、もはやショートムービーと言ってもいいだろう。見たあとはノスタルジックな気持ちにさせられる。そしてまた見たくなる』
『前回のCMと上手くリンクさせつつ、動と静で楽しかった若かりし青春の日々と悩める社会人の日々の対比をうまく表現している』
世の評論家の評判も上々で、SNSやブログにはいくつもの褒め言葉が並んだ。
もちろん商品自体の売り上げもよく、購買層のターゲットを十代の若者のみから広範囲に広げ、それが大成功をおさめた形となった。
表彰式は翌年の二月下旬に汐留のテレビ局で行われた。
表彰式自体はテレビ中継されなかったものの、そのときの様子は夕方のニュースやワイドショーで繰り返し流されていた。
俺も仕事から帰ってつけたテレビで何度も目にすることになる。
CM制作に携わったスタッフの中央にワインレッドのドレスを着た彩乃が立ち、代表して盾を受け取っている。
隣には黒いスーツでカッチリとキメた成瀬先輩の姿もあった。彼は今回もスチールカメラマンとしてCMに参加していたのだ。
