思い出さなければよかったのに

 感動した。正直言って世界観が変わった。

 彩乃のナカはめちゃくちゃ気持ちよくって温かくて……天国ってこんな感じなのかもしれないと思った。
 繋がったままギュッと抱き締めていたら、彩乃が真珠みたいにキラキラした大粒の涙を零す。

「ごめん、痛かったよな。俺、止められなくて……」
「ううん、いいの。嬉しい」
「彩乃、ありがとうな。おまえのこと、一生大事にするからな」

 すると彩乃は、「しあわせ……」って呟いてまた泣いて、俺の胸にそっと唇を寄せる。
 大切な処女を俺なんかに捧げてくれた彼女がただただ愛しくて。
 身体中が『好き』で一杯になって、溢れ出して止まらなくて。

「好きだ……彩乃」

 ――絶対にしあわせにする。

 彩乃の憧れの白いウエディングドレスは、俺が必ず着せてやる。最高の笑顔にさせてやる。
 そう心に誓った。

 その後も長い付き合いのあいだで、何度かわからないくらい彩乃を抱いた。けれど、あの一番最初、はじめてのときのあいつの笑顔と涙は一生忘れない。

 そう思っていたのに。
 忘れるはずがなかったのに……。

 再び白い閃光。

 カシャッ! カシャッ!
 懐かしいシャッター音。

 ああ、この音は……。

 N社のD7500。
 俺がはじめて自分のお金で買った中古カメラ。

 ああ、そうか……これは専門学校に通っていたころだ。