その後数日が経ち、屋敷は日常を取り戻していった。
隼人は屋敷の事は使用人に任せ、救出した深山伯爵令嬢から事情を聞いて〝神無月の鴉〟の手がかりを掴もうとしている。
昼間は軍人として仕事をまっとうした隼人は、一週間経った夜、紫乃を同席させて葛と燕谷を呼んだ。
夕食後に応接室に集まった四人は、葛がお茶を淹れ終えたあとに話し始める。
「破壊された結界具は専門の機関に発注し、今は代用品を置いてある。屋敷の結界も張り直したし、もう日常が戻っていると言っていい。しかし我々は同じ過ちを起こさないよう、原因を深く知らなければならない」
着物に身を包んだ隼人は真剣な表情で言い、他の三人も緊張した面持ちで座している。
「菖蒲さんは、その異能で葛の心の奥底まで覗いたのだと思う。葛も自分のつらい過去を話すのは気が進まないかもしれないが、何があったのかを話してくれないか?」
隼人に言われ、葛は深く頭を下げる。
それから彼は、幼少期からの自分の過去や、大切な人を失った心の傷、そして丸尾という男に付け入れられ、気がつけば催眠を掛けられていた事を語っていった。
その内容はほぼ、紫乃が異能を使って体験した事と同じで、彼女は唇を軽く噛みながらも自らの傷を曝け出す葛の言葉を聞いていた。
葛は時に言葉を迷わせながらも、偽りなしにすべてを語り、それが終わったあと、隼人は溜め息をついてぬるくなったお茶を飲んだ。
「……自分も鬼によって家族をなくしたと嘘をつき、傷付いた葛を騙すとは姑息な手段を……」
隼人はボソッと、怒気の籠もった声で呟く。
そのあと気持ちを取り直し、葛に尋ねた。
「その丸尾という男の、現在の足がかりはないのか?」
「申し訳ございませんが、まったく……。恐らく奴は私を三千風家の執事と分かって普段の行動を監視し、用意周到に計画を練り、偶然を装って話しかけて来たのだと思います。奴に会ったのはあの日だけで、その後、銀座やその周辺で探しても、それらしき姿を見かけた事はございませんでした」
「だろうな……」
隼人は頷き、脚を組んで腕も組む。
その時、燕谷が挙手してから口を開いた。
隼人は屋敷の事は使用人に任せ、救出した深山伯爵令嬢から事情を聞いて〝神無月の鴉〟の手がかりを掴もうとしている。
昼間は軍人として仕事をまっとうした隼人は、一週間経った夜、紫乃を同席させて葛と燕谷を呼んだ。
夕食後に応接室に集まった四人は、葛がお茶を淹れ終えたあとに話し始める。
「破壊された結界具は専門の機関に発注し、今は代用品を置いてある。屋敷の結界も張り直したし、もう日常が戻っていると言っていい。しかし我々は同じ過ちを起こさないよう、原因を深く知らなければならない」
着物に身を包んだ隼人は真剣な表情で言い、他の三人も緊張した面持ちで座している。
「菖蒲さんは、その異能で葛の心の奥底まで覗いたのだと思う。葛も自分のつらい過去を話すのは気が進まないかもしれないが、何があったのかを話してくれないか?」
隼人に言われ、葛は深く頭を下げる。
それから彼は、幼少期からの自分の過去や、大切な人を失った心の傷、そして丸尾という男に付け入れられ、気がつけば催眠を掛けられていた事を語っていった。
その内容はほぼ、紫乃が異能を使って体験した事と同じで、彼女は唇を軽く噛みながらも自らの傷を曝け出す葛の言葉を聞いていた。
葛は時に言葉を迷わせながらも、偽りなしにすべてを語り、それが終わったあと、隼人は溜め息をついてぬるくなったお茶を飲んだ。
「……自分も鬼によって家族をなくしたと嘘をつき、傷付いた葛を騙すとは姑息な手段を……」
隼人はボソッと、怒気の籠もった声で呟く。
そのあと気持ちを取り直し、葛に尋ねた。
「その丸尾という男の、現在の足がかりはないのか?」
「申し訳ございませんが、まったく……。恐らく奴は私を三千風家の執事と分かって普段の行動を監視し、用意周到に計画を練り、偶然を装って話しかけて来たのだと思います。奴に会ったのはあの日だけで、その後、銀座やその周辺で探しても、それらしき姿を見かけた事はございませんでした」
「だろうな……」
隼人は頷き、脚を組んで腕も組む。
その時、燕谷が挙手してから口を開いた。



