「……あとからじっくりと、その話を聞く必要がありそうだな」
「私がお話しできる事なら、なんでもいたします。……ですから、葛さんへの処分はなしにしてください!」
紫乃は隼人の目を見つめ、緊張と昂ぶった気持ちとで唇を震わせる。
いまだかつて、こんなに強い意志を持って誰かに何かを訴えた事はなかった。
だからこそ酷く身が強張り、今にも泣いてしまいそうになる。
けれど大切な時に涙を見せ、泣き落としするなど卑怯者のする事だと思い、グッと目の奥に力を込め、睨むように隼人を凝視した。
彼はしばし紫乃を見つめ返していたが、フッと柔らかく笑うとポンと彼女の肩を叩く。
「オドオドした女性と思っていたが、そういう顔もできるじゃないか」
そのあと、隼人は紫乃の背中に手を回し、グイッと抱き上げつつ立ちあがった。
「葛はしばらく安静にしていろ。寝て食べて体力をつけ、元のように勤務できるようになったら、事情を説明しなさい」
「かしこまりました」
主人に命令された執事は、深くこうべを垂れて返事をする。
「燕谷は屋敷の結界の張り直しを急がせろ。破壊された結界具もあるだろうが、それは後日補充する。可能な限り結界術士を使って強化し直したあと、今日はもう休め」
「仰せのままに」
そのまま、隼人は和室を出るとスタスタと廊下を歩いて行く。
「あの……っ、音更さんは!?」
囮になってくれた彼女の安否を気にすると、隼人は淡々と答える。
「それなりに酷い傷を負ったが、生きてるよ。今は我が家の腕利き医師の治療を受けている。彼女はそう簡単に倒れる人ではないから、安心していい。次に顔を合わせたら、守ってくれた礼を言いなさい」
「はい……っ」
涙混じりに頷くと、隼人は悪戯っぽく付け加える。
「彼女は意外と甘い物が好きだから、見舞いには甘味をお勧めする」
「はい!」
思わず笑顔になって頷いた時、フワフワと隼人のあとを追って飛んできたハクトと目が合った。
「……ハクト、ありがとうね。あなたのお陰で力をもらえたわ」
お礼を言うと、ハクトは「ミャー」と鳴いて紫乃に顔をすり寄せた。
**
「私がお話しできる事なら、なんでもいたします。……ですから、葛さんへの処分はなしにしてください!」
紫乃は隼人の目を見つめ、緊張と昂ぶった気持ちとで唇を震わせる。
いまだかつて、こんなに強い意志を持って誰かに何かを訴えた事はなかった。
だからこそ酷く身が強張り、今にも泣いてしまいそうになる。
けれど大切な時に涙を見せ、泣き落としするなど卑怯者のする事だと思い、グッと目の奥に力を込め、睨むように隼人を凝視した。
彼はしばし紫乃を見つめ返していたが、フッと柔らかく笑うとポンと彼女の肩を叩く。
「オドオドした女性と思っていたが、そういう顔もできるじゃないか」
そのあと、隼人は紫乃の背中に手を回し、グイッと抱き上げつつ立ちあがった。
「葛はしばらく安静にしていろ。寝て食べて体力をつけ、元のように勤務できるようになったら、事情を説明しなさい」
「かしこまりました」
主人に命令された執事は、深くこうべを垂れて返事をする。
「燕谷は屋敷の結界の張り直しを急がせろ。破壊された結界具もあるだろうが、それは後日補充する。可能な限り結界術士を使って強化し直したあと、今日はもう休め」
「仰せのままに」
そのまま、隼人は和室を出るとスタスタと廊下を歩いて行く。
「あの……っ、音更さんは!?」
囮になってくれた彼女の安否を気にすると、隼人は淡々と答える。
「それなりに酷い傷を負ったが、生きてるよ。今は我が家の腕利き医師の治療を受けている。彼女はそう簡単に倒れる人ではないから、安心していい。次に顔を合わせたら、守ってくれた礼を言いなさい」
「はい……っ」
涙混じりに頷くと、隼人は悪戯っぽく付け加える。
「彼女は意外と甘い物が好きだから、見舞いには甘味をお勧めする」
「はい!」
思わず笑顔になって頷いた時、フワフワと隼人のあとを追って飛んできたハクトと目が合った。
「……ハクト、ありがとうね。あなたのお陰で力をもらえたわ」
お礼を言うと、ハクトは「ミャー」と鳴いて紫乃に顔をすり寄せた。
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