心配していた彼女は、玄関前で葛の手を掴んだまま、執事と重なり合うように倒れていた。
その表情は苦悶に歪み、フツフツと冷や汗を浮かべている。
(……異能を使っているか。……だとすれば、葛は異能を使わざるを得ない状況にあったと思っていい)
二人が倒れているのを見ただけでそう判断した隼人は、すぐに使用人たちに命令した。
「私がいいと言うまで、菖蒲さんと葛には触れるな。二人は私が異能を使って移動させる。和室で布団を敷いておけ」
「かしこまりました!」
隼人の命令を聞き、涙ぐんで佇んでいた小笛と和鼓が屋敷の中に駆け込んでいった。
彼は風の異能を使って二人の接触が解けないように浮かばせ、慎重に運んでいく。
「……音更は?」
「探して参ります!」
菖蒲の側にいなければならないメイド長の名を口に出すと、残る花鈴、三琴が走っていった。
屋敷の内部は荒れておらず、隼人は内心で安堵の息を吐く。
彼は感情を荒立てないように心を落ち着かせながら、菖蒲と葛を異能で支えつつ、洋館を通り抜け、渡り廊下を経て奥の和風の屋敷へ入っていった。
その頃には小笛と和鼓は二人分の布団を敷いて廊下に立っており、涙ぐんだ目で二人を見守る。
菖蒲と葛は布団の上に横たえられたあと、腕が触れ合う距離感で、並んで寝かせられた。
「……菖蒲さんは葛を救うため、精神に関与する異能を使っている。彼女は触れたものに対して異能を発動させる。決して二人に触れるな」
命令したあと、隼人は溜め息をついてその場に胡座をかいた。
負傷者の確認が進むなか、地下で血まみれの音更が発見されたのは、少し経ったあとだった。
**
その表情は苦悶に歪み、フツフツと冷や汗を浮かべている。
(……異能を使っているか。……だとすれば、葛は異能を使わざるを得ない状況にあったと思っていい)
二人が倒れているのを見ただけでそう判断した隼人は、すぐに使用人たちに命令した。
「私がいいと言うまで、菖蒲さんと葛には触れるな。二人は私が異能を使って移動させる。和室で布団を敷いておけ」
「かしこまりました!」
隼人の命令を聞き、涙ぐんで佇んでいた小笛と和鼓が屋敷の中に駆け込んでいった。
彼は風の異能を使って二人の接触が解けないように浮かばせ、慎重に運んでいく。
「……音更は?」
「探して参ります!」
菖蒲の側にいなければならないメイド長の名を口に出すと、残る花鈴、三琴が走っていった。
屋敷の内部は荒れておらず、隼人は内心で安堵の息を吐く。
彼は感情を荒立てないように心を落ち着かせながら、菖蒲と葛を異能で支えつつ、洋館を通り抜け、渡り廊下を経て奥の和風の屋敷へ入っていった。
その頃には小笛と和鼓は二人分の布団を敷いて廊下に立っており、涙ぐんだ目で二人を見守る。
菖蒲と葛は布団の上に横たえられたあと、腕が触れ合う距離感で、並んで寝かせられた。
「……菖蒲さんは葛を救うため、精神に関与する異能を使っている。彼女は触れたものに対して異能を発動させる。決して二人に触れるな」
命令したあと、隼人は溜め息をついてその場に胡座をかいた。
負傷者の確認が進むなか、地下で血まみれの音更が発見されたのは、少し経ったあとだった。
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