三千風邸の上空に姿を現した隼人は、家族の思い出、先祖の誇りが詰まった屋敷が無数の鬼に囲まれている様子を見て、眉間に皺を寄せる。
敷地全体から鬼が放つ瘴気が立ち上り、息を吸うだけで具合が悪くなる。
「……鬼め」
隼人は怒気の籠もった声で呟いたあと、スッと片手を掲げ、そこを起点に風を纏わせていった。
使用人が呼んだ雷雲の下、軍服をはためかせた隼人は努めて心を落ち着かせ、地上を見下ろしながら大きく風を渦巻かせていく。
風に気づいたのか、庭にいた使用人が「旦那様だ!」と叫んだのが聞こえた。
その声に勇気づけられた使用人たちは、いっそう勢いをつけて鬼を祓っていく。
加えて隼人が呼んだ風は巨大な竜巻となり、三千風邸の敷地内をゆっくりと蹂躙していった。
しかし影響を受けるのは鬼ばかりで、庭木はカサリとも動かない。
純然たる祓いの風により、隼人が屋敷の上空に現れてから五分後には、数え切れないぐらいいた鬼が、すべてかき消えていた。
竜巻を収めた隼人は小さく溜め息をつき、地上目がけて凄まじいスピードで下りていく。
あわや地面にぶつかる直前になり、彼はフワッと勢いを殺し、優雅に降り立った。
「旦那様! 申し訳ございません!」
庭番は負傷し、頭や腕から血を流している。
「光を!」
隼人が大きな声で命じると、光の異能を持つ者が、庭園にある外灯をいっそう強く輝かせた。
「負傷者はすぐに医務室へ! 軽傷の者は重症者を助けろ!」
彼は命令を下しながら大股に進み、庭園や屋敷の損壊具合を確かめる。
速歩で進む隼人の隣に、スッと家令がついた。
「油断しておりました。申し訳ございません」
「謝罪はいい。状況の報告と、原因の究明、損壊した部分の復旧、結界の張り直しを急がせろ」
「かしこまりました」
「菖蒲さんは?」
「それが……」
珍しく言いよどんだ燕谷の様子を見て、隼人は嫌な予感を抱く。
敷地全体から鬼が放つ瘴気が立ち上り、息を吸うだけで具合が悪くなる。
「……鬼め」
隼人は怒気の籠もった声で呟いたあと、スッと片手を掲げ、そこを起点に風を纏わせていった。
使用人が呼んだ雷雲の下、軍服をはためかせた隼人は努めて心を落ち着かせ、地上を見下ろしながら大きく風を渦巻かせていく。
風に気づいたのか、庭にいた使用人が「旦那様だ!」と叫んだのが聞こえた。
その声に勇気づけられた使用人たちは、いっそう勢いをつけて鬼を祓っていく。
加えて隼人が呼んだ風は巨大な竜巻となり、三千風邸の敷地内をゆっくりと蹂躙していった。
しかし影響を受けるのは鬼ばかりで、庭木はカサリとも動かない。
純然たる祓いの風により、隼人が屋敷の上空に現れてから五分後には、数え切れないぐらいいた鬼が、すべてかき消えていた。
竜巻を収めた隼人は小さく溜め息をつき、地上目がけて凄まじいスピードで下りていく。
あわや地面にぶつかる直前になり、彼はフワッと勢いを殺し、優雅に降り立った。
「旦那様! 申し訳ございません!」
庭番は負傷し、頭や腕から血を流している。
「光を!」
隼人が大きな声で命じると、光の異能を持つ者が、庭園にある外灯をいっそう強く輝かせた。
「負傷者はすぐに医務室へ! 軽傷の者は重症者を助けろ!」
彼は命令を下しながら大股に進み、庭園や屋敷の損壊具合を確かめる。
速歩で進む隼人の隣に、スッと家令がついた。
「油断しておりました。申し訳ございません」
「謝罪はいい。状況の報告と、原因の究明、損壊した部分の復旧、結界の張り直しを急がせろ」
「かしこまりました」
「菖蒲さんは?」
「それが……」
珍しく言いよどんだ燕谷の様子を見て、隼人は嫌な予感を抱く。



