志摩でも鬼が出れば父たちが討伐に出ていたが、紫乃は足手まといになる上、何の役にも立てないので現場に赴く事はなかった。
なので、あとになってから使用人たちが興奮した面持ちで『旦那様は凄かった』『いやいや、龍之介様も』と言っているのを聞くしかできなかった。
その、見たくても見られなかった戦いが、目の前にある。
自分にニコニコと好意的な笑顔を向けていてくれた使用人たちが、戦士の顔をして鬼を見据え、異能の武器を手に立ち回っている。
よく見ると、花鈴たちまでもが、刀や槍などを手にして、勇ましく鬼に立ちむかっていた。
彼女たちの戦いは男性にひけを取らず、音更が言うように〝強い〟のだと分かる。
圧倒的な戦場の雰囲気に呑まれた紫乃は、自分が誰に話しかけても邪魔にしかならないと悟った。
(音更さんは、燕谷さんか葛さんの指示を仰ぎ、花鈴さんたちに守ってもらいなさいと言っていたけれど……)
葛は側にいるが、燕谷は――、と庭園を探すと、彼は剛拳でもって大地を割り、まるで龍の顎のように隆起したそれでもって、鬼を数体纏めてバグンッ! と潰しているところだった。
四人のメイドたちも離れた場所にいて、すぐに声を掛けられる状態ではない。
「……ここで大人しく待っていたほうがいいのかしら。……でも、音更さんが……」
呟いた時、使用人が倒し漏らした鬼が紫乃たちに気付き、引き寄せられるようにフラフラと寄ってきた。
(いけない……っ!)
戦う術を持たない紫乃は真っ青になり、「葛さん……」と彼の腕に触れる。
「は…………っ」
その瞬間、ドッ……! と凄まじい悪意が紫乃の中に流れ込んできた。
「あぁああああぁあぁっ!!」
彼女は頭を抱えて地面に膝をつき、脳内でグワングワンと反響する悪意に激しく体を震わせた。
なので、あとになってから使用人たちが興奮した面持ちで『旦那様は凄かった』『いやいや、龍之介様も』と言っているのを聞くしかできなかった。
その、見たくても見られなかった戦いが、目の前にある。
自分にニコニコと好意的な笑顔を向けていてくれた使用人たちが、戦士の顔をして鬼を見据え、異能の武器を手に立ち回っている。
よく見ると、花鈴たちまでもが、刀や槍などを手にして、勇ましく鬼に立ちむかっていた。
彼女たちの戦いは男性にひけを取らず、音更が言うように〝強い〟のだと分かる。
圧倒的な戦場の雰囲気に呑まれた紫乃は、自分が誰に話しかけても邪魔にしかならないと悟った。
(音更さんは、燕谷さんか葛さんの指示を仰ぎ、花鈴さんたちに守ってもらいなさいと言っていたけれど……)
葛は側にいるが、燕谷は――、と庭園を探すと、彼は剛拳でもって大地を割り、まるで龍の顎のように隆起したそれでもって、鬼を数体纏めてバグンッ! と潰しているところだった。
四人のメイドたちも離れた場所にいて、すぐに声を掛けられる状態ではない。
「……ここで大人しく待っていたほうがいいのかしら。……でも、音更さんが……」
呟いた時、使用人が倒し漏らした鬼が紫乃たちに気付き、引き寄せられるようにフラフラと寄ってきた。
(いけない……っ!)
戦う術を持たない紫乃は真っ青になり、「葛さん……」と彼の腕に触れる。
「は…………っ」
その瞬間、ドッ……! と凄まじい悪意が紫乃の中に流れ込んできた。
「あぁああああぁあぁっ!!」
彼女は頭を抱えて地面に膝をつき、脳内でグワングワンと反響する悪意に激しく体を震わせた。



