「きゃ……っ!」
驚いた紫乃は両手で耳を塞ぎ、音更は彼女を守るように抱き締める。
「大丈夫です。このお屋敷は何重にも結界を張られ、守られています。爆発物や火炎瓶などを投げ込まれたとしても、傷一つつきません」
突然の強襲にも音更は動じておらず、冷静に告げると、エプロンに付けているピンバッジに触れて声を掛けた。
「守衛室ですか? 音更です。外では何が起こっていますか?」
すると、そこから男性の声が聞こえてきた。
《敵襲です。いきなり庭園に向かって術を投げられましたが、結界のお陰でボーン! と跳ね飛びましたよ! ざまぁ見ろ!》
「敵の人数は?」
《分かんねぇ! 被害は受けていないが、夜な上に風で土煙が舞い上がって辺りが見えねぇ。今、その辺にいる男衆を集めてるところだ!》
「分かりました。外の守りはお任せいたします」
音更が答えた時、晩餐室の窓に何かがバァンッ! と叩きつけられた。
「見て参ります!」
花鈴がツカツカと窓際に向かい、シャッとカーテンを開ける。
すると、窓には僅かにヒビが入っていた。
「菖蒲様はこちらへ」
音更が言い、彼女は廊下へ続く出入り口に向かう。
「叶恵さん! お屋敷が鬼に包囲されています!」
花鈴が悲鳴混じりの声を上げ、それを聞いた音更は表情を厳しくする。
「結界があったはずなのに、どうして……」
「外で皆さんが応戦しています。叶恵さんは菖蒲様を地下へお連れください」
三琴に言われ、紫乃は音更に連れられて廊下を進んでいく。
こんな時、本物の菖蒲だったら雨を呼んで鬼を浄化していただろう。
(何もできない自分が歯がゆい……)
紫乃は表情を暗くし、赤い絨毯が敷かれた廊下を歩いていく。
一階には厨房などがあるため、先ほどの轟音に驚いた使用人たちが廊下に出てざわめいていた。
「はい、皆さん落ち着いて」
パンパンと手を鳴らしたのは六十代の家令燕谷で、使用人たちは絶大な信頼を置いている彼見て少し落ち着きを取り戻す。
「外にいる方々が応戦してくださっています。結界の反応により、旦那様の元にも異変が起こっている事は伝わっているでしょう。ですが我々は三千風家の使用人です。ただ敵襲を受けて怯え、逃げ惑っているだけではない。そうでしょう?」
片眼鏡を掛けた家令に淡々と言われ、不安に彩られていた使用人たちの表情に、覚悟と戦意が宿っていく。
「旦那様はすぐお戻りになるでしょうが、その前に我々が片づけておく、ぐらいの心意気でなければなりません」
「はいっ!」
燕谷に鼓舞された使用人たちは、統率の取れた軍人のように声を上げる。
その声を後ろに、紫乃は音更に付き添われて地下に続く階段を下りていった。
驚いた紫乃は両手で耳を塞ぎ、音更は彼女を守るように抱き締める。
「大丈夫です。このお屋敷は何重にも結界を張られ、守られています。爆発物や火炎瓶などを投げ込まれたとしても、傷一つつきません」
突然の強襲にも音更は動じておらず、冷静に告げると、エプロンに付けているピンバッジに触れて声を掛けた。
「守衛室ですか? 音更です。外では何が起こっていますか?」
すると、そこから男性の声が聞こえてきた。
《敵襲です。いきなり庭園に向かって術を投げられましたが、結界のお陰でボーン! と跳ね飛びましたよ! ざまぁ見ろ!》
「敵の人数は?」
《分かんねぇ! 被害は受けていないが、夜な上に風で土煙が舞い上がって辺りが見えねぇ。今、その辺にいる男衆を集めてるところだ!》
「分かりました。外の守りはお任せいたします」
音更が答えた時、晩餐室の窓に何かがバァンッ! と叩きつけられた。
「見て参ります!」
花鈴がツカツカと窓際に向かい、シャッとカーテンを開ける。
すると、窓には僅かにヒビが入っていた。
「菖蒲様はこちらへ」
音更が言い、彼女は廊下へ続く出入り口に向かう。
「叶恵さん! お屋敷が鬼に包囲されています!」
花鈴が悲鳴混じりの声を上げ、それを聞いた音更は表情を厳しくする。
「結界があったはずなのに、どうして……」
「外で皆さんが応戦しています。叶恵さんは菖蒲様を地下へお連れください」
三琴に言われ、紫乃は音更に連れられて廊下を進んでいく。
こんな時、本物の菖蒲だったら雨を呼んで鬼を浄化していただろう。
(何もできない自分が歯がゆい……)
紫乃は表情を暗くし、赤い絨毯が敷かれた廊下を歩いていく。
一階には厨房などがあるため、先ほどの轟音に驚いた使用人たちが廊下に出てざわめいていた。
「はい、皆さん落ち着いて」
パンパンと手を鳴らしたのは六十代の家令燕谷で、使用人たちは絶大な信頼を置いている彼見て少し落ち着きを取り戻す。
「外にいる方々が応戦してくださっています。結界の反応により、旦那様の元にも異変が起こっている事は伝わっているでしょう。ですが我々は三千風家の使用人です。ただ敵襲を受けて怯え、逃げ惑っているだけではない。そうでしょう?」
片眼鏡を掛けた家令に淡々と言われ、不安に彩られていた使用人たちの表情に、覚悟と戦意が宿っていく。
「旦那様はすぐお戻りになるでしょうが、その前に我々が片づけておく、ぐらいの心意気でなければなりません」
「はいっ!」
燕谷に鼓舞された使用人たちは、統率の取れた軍人のように声を上げる。
その声を後ろに、紫乃は音更に付き添われて地下に続く階段を下りていった。



