「その時は、僕もご案内します! お姉様は甘味はお好きやろか? 京都には自慢の甘味処がぎょうさんありますさかい、ぜひ召し上がっていただきたいです!」
「あ、ありがとうございます……」
圧の強い兄弟に気押されながらも、紫乃は嬉しそうに笑う。
やがて、それまで聞き役に徹していた白瑛が口を開いた。
「私は、愛する葵さんが汀家いう下級の家の男に乱暴されたと知った時、気が狂いそうになるほど怒りました。……せやけど、葵さんの言う通り、生まれてくる子に罪はあらしまへん。卑劣な手で、生まれたばかりの娘を奪われたあと、葵さんは長いこと、悲嘆に暮れてはりました。……ようやく紫乃が見つかった時、この女性は泣いて喜んではりましたよ。……私らは最悪、もう殺されてしもうたのやないかと思っていましたさかい」
白瑛の言葉を聞き、紫乃は真面目な顔で頷く。
「……せやけど、ようやく紫乃も嫁ぐ年頃になって、あの忌まわしい家から解放された。これからは誰のためでもない、自分の人生を歩んでいきなさい。水流迫家は紫乃を全力で支えていきます。……それに三千風侯もあんさんを大切にし、命懸けで守ってくれはるでしょう」
「はい、新しく生まれ変わった気持ちで、自分の人生を生きます」
紫乃の返事を聞き、皆は温かく笑った。
**
その翌日、紫乃は菖蒲の見舞いのために貴賓館をおとなった。
勿論、隼人も同行しているし葵と時子も同席すると言って聞かなかった。
一行は貴賓館に入り、葛に先導されるまま赤い絨毯が敷かれた廊下を進み、応接室に向かった。
先に彼らが訪れる事を聞かされていたのか、そこにはすでに汀家の四人がいた。
小さな瑛はこの争いに無関係とされ、余計な事を聞かせる必要はないとして、使用人と一緒に別室にいるのだろう。
昨日、あのあとも一家は酷い言い争いをしたのか、全員険悪な雰囲気でむっつりと黙り込んでいた。
葛がお茶を出したが、汀家の者たちはまた自白剤を入れられては叶わないと、手を出す様子を見せなかった。
「まず言いたいのは、あなた方のした事を紫乃さんに謝ってほしい」
隼人に切り出され、汀家の家族は膝の上でギュッと拳を握る。
菖蒲はまだ紫乃に対して敵対心を持っているのが、上目遣いに妹を睨んでいた。
「あ、ありがとうございます……」
圧の強い兄弟に気押されながらも、紫乃は嬉しそうに笑う。
やがて、それまで聞き役に徹していた白瑛が口を開いた。
「私は、愛する葵さんが汀家いう下級の家の男に乱暴されたと知った時、気が狂いそうになるほど怒りました。……せやけど、葵さんの言う通り、生まれてくる子に罪はあらしまへん。卑劣な手で、生まれたばかりの娘を奪われたあと、葵さんは長いこと、悲嘆に暮れてはりました。……ようやく紫乃が見つかった時、この女性は泣いて喜んではりましたよ。……私らは最悪、もう殺されてしもうたのやないかと思っていましたさかい」
白瑛の言葉を聞き、紫乃は真面目な顔で頷く。
「……せやけど、ようやく紫乃も嫁ぐ年頃になって、あの忌まわしい家から解放された。これからは誰のためでもない、自分の人生を歩んでいきなさい。水流迫家は紫乃を全力で支えていきます。……それに三千風侯もあんさんを大切にし、命懸けで守ってくれはるでしょう」
「はい、新しく生まれ変わった気持ちで、自分の人生を生きます」
紫乃の返事を聞き、皆は温かく笑った。
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その翌日、紫乃は菖蒲の見舞いのために貴賓館をおとなった。
勿論、隼人も同行しているし葵と時子も同席すると言って聞かなかった。
一行は貴賓館に入り、葛に先導されるまま赤い絨毯が敷かれた廊下を進み、応接室に向かった。
先に彼らが訪れる事を聞かされていたのか、そこにはすでに汀家の四人がいた。
小さな瑛はこの争いに無関係とされ、余計な事を聞かせる必要はないとして、使用人と一緒に別室にいるのだろう。
昨日、あのあとも一家は酷い言い争いをしたのか、全員険悪な雰囲気でむっつりと黙り込んでいた。
葛がお茶を出したが、汀家の者たちはまた自白剤を入れられては叶わないと、手を出す様子を見せなかった。
「まず言いたいのは、あなた方のした事を紫乃さんに謝ってほしい」
隼人に切り出され、汀家の家族は膝の上でギュッと拳を握る。
菖蒲はまだ紫乃に対して敵対心を持っているのが、上目遣いに妹を睨んでいた。



