2026-05-13
『辛そうな君のこと』
自分のことを大事にできてない人の
隣にずっといるって結構しんどいよ
ギャンブルに明け暮れる彼氏と
2年ほど付き合っている女性が
そんなことを僕に教えてくれた。
「どういう風にしんどいの?」
食い入るように訊ねてしまう。
「せっかく休みの日が被ってもね」
「どこか遊びに行くわけでもなく」
「彼氏はパチンコに行っちゃうの」
もう諦め切った表情をしている女性は
置かれていた紅茶を静かに一口啜った。
僕も同じように紅茶を一口だけ啜って
「付き合ってる感がなくて嫌だね」と
少しだけ共感して、入り口に目が行く。
初めて入った喫茶店だったこともあって
内装がお洒落で、目が泳いでしまうけど。
「勝った日は機嫌が良くていいんだけど」
「負けた日は機嫌が悪くて、気を遣うの」
「分かってる、別れたほうがいいことも」
注文していたケーキが2つ届き
「いただきます」と女性が先に
フォークでケーキを食べ始めた。
「感情の起伏が激しくない人がいいね」
「合わせなければいけないのも辛いし」
僕もフォークを手に持ち、ケーキを切って
一口サイズのそれを口に放り込んで食べた。
「わ、凄く美味しい、ここ気になってた所なの」
「彼氏が一緒に来てくれなくて残念だったけど」
「君と来れて良かった、ね、君も良かったよね」
僕が言葉にするまでもなく、見抜かれていて
「うん、本当に良かった」と首を縦に振った。
「で、さっきの話に戻るんだけどさ」
「どうして君は別れようとしないの」
突っつかれると分かっていたのだろうか。
「それ聞く?なんでだろ、難しいな」と
答えることなくそれは濁されてしまった。
「でももし、自分の恋人がギャンブルしてたら」
「そもそも付き合い続けることはないだろうな」
思ったことを口にして、女性の表情を伺うが
もう振り切れているようで、寧ろ笑っていた。
「君には分からない、この感覚は」
女性がケーキを食べ、僕も食べた。
「叶わない人を好きになって一緒に笑って」
「でも、その好意が報われない思いだって」
「君は知る由もないね、それと一緒でしょ」
僕は言う。
紅茶を飲んでから女性は一言だけ
「私のこと好きなの?」と言った。
「好きじゃないと言えば嘘になるけど」
「辛そうな君を見ているのは凄く嫌だ」
ほとんどが本音だった。
僕の紅茶は冷めている。
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『辛そうな君のこと』
自分のことを大事にできてない人の
隣にずっといるって結構しんどいよ
ギャンブルに明け暮れる彼氏と
2年ほど付き合っている女性が
そんなことを僕に教えてくれた。
「どういう風にしんどいの?」
食い入るように訊ねてしまう。
「せっかく休みの日が被ってもね」
「どこか遊びに行くわけでもなく」
「彼氏はパチンコに行っちゃうの」
もう諦め切った表情をしている女性は
置かれていた紅茶を静かに一口啜った。
僕も同じように紅茶を一口だけ啜って
「付き合ってる感がなくて嫌だね」と
少しだけ共感して、入り口に目が行く。
初めて入った喫茶店だったこともあって
内装がお洒落で、目が泳いでしまうけど。
「勝った日は機嫌が良くていいんだけど」
「負けた日は機嫌が悪くて、気を遣うの」
「分かってる、別れたほうがいいことも」
注文していたケーキが2つ届き
「いただきます」と女性が先に
フォークでケーキを食べ始めた。
「感情の起伏が激しくない人がいいね」
「合わせなければいけないのも辛いし」
僕もフォークを手に持ち、ケーキを切って
一口サイズのそれを口に放り込んで食べた。
「わ、凄く美味しい、ここ気になってた所なの」
「彼氏が一緒に来てくれなくて残念だったけど」
「君と来れて良かった、ね、君も良かったよね」
僕が言葉にするまでもなく、見抜かれていて
「うん、本当に良かった」と首を縦に振った。
「で、さっきの話に戻るんだけどさ」
「どうして君は別れようとしないの」
突っつかれると分かっていたのだろうか。
「それ聞く?なんでだろ、難しいな」と
答えることなくそれは濁されてしまった。
「でももし、自分の恋人がギャンブルしてたら」
「そもそも付き合い続けることはないだろうな」
思ったことを口にして、女性の表情を伺うが
もう振り切れているようで、寧ろ笑っていた。
「君には分からない、この感覚は」
女性がケーキを食べ、僕も食べた。
「叶わない人を好きになって一緒に笑って」
「でも、その好意が報われない思いだって」
「君は知る由もないね、それと一緒でしょ」
僕は言う。
紅茶を飲んでから女性は一言だけ
「私のこと好きなの?」と言った。
「好きじゃないと言えば嘘になるけど」
「辛そうな君を見ているのは凄く嫌だ」
ほとんどが本音だった。
僕の紅茶は冷めている。
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