言の葉の涯

2026-05-15
『別れた恋人のSNS』

「別れたらフォローとか外すタイプ?」
1人の女の子がゲラゲラと話し出した。

「俺は外さないかな、復縁もあるだろうし」
女の子に対して、男の子はそれだけを言う。

ショッピングモールのイートインスペース
僕は買ったばかりのたこ焼きを1つ食べた。

「え~、私だったら外しちゃうかもな~」
「その人に縛られる気がしてなんか嫌だ」

女の子と目が合ってしまい、僕はすぐに逸らし
また、たこ焼きを1つ箸でつまんで口に入れた。

「フォローしてると必ず見てしまうから」
「外すっていう意見も分からなくはない」
「でも、一度付き合った人だと思うとね」

男の子は少し躊躇ったような表情をして
たこ焼きを1つ箸でつまんで口に入れた。

「これって性別によって考え方が変わるのかな」
「私は外しても、全然復縁とか考えるんだけど」

女の子は考えるように天井を見て
同じようにたこ焼きを1つ食べた。

「俺の周りにもフォロー外すやつとかいるけど」
「結局、調べてでもアカウントを見に行くから」
「それなら外さなくても良くないかって思うね」

男の子の言葉に何か気付きを得たのか
女の子の表情が少しばかり明るくなる。

「確かにフォロー外したとしても調べたりする」
「外すことで意識を逸らそうとしても無理だね」

そう言った女の子は「ふっ」と笑ってから
コップを手に持ち、入っていた水を飲んだ。

「だから外す必要はないと思うんだよね、俺はさ」
「まぁ、個人的な意見を強制するのは良くないね」

男の子も同じように「ふっ」と笑ってから
コップを手に持ち、入っていた水を飲んだ。

さっき買ったたこ焼きは残り2個となっていて
僕は食べることを少しばかり拒んでしまうけど。

美味しいからまた1つ箸でつまんで口に入れて
窓から見える空を眺めながら咀嚼して味わった。

「あれ、ゆいじゃない?」

女の子に見知らぬ男の子が話しかけてきた。
一緒にいた男の子は会釈をして気まずそう。

「あ、まなとじゃん。最近どう、元気してるの?」
女の子はそれだけ言って、たこ焼きを1つ食べた。

「うん、元気。そっちも元気そうじゃん」
「俺、用事あるからもう行くわ、じゃあ」

一瞬の出来事だったのに一頻りの愛が見えて
元恋人同士なのだろうと容易に想像がついた。

「あれ、元カレでしょ。雰囲気で分かった」
男の子が茶化すようにしてそう話しかける。

「こんなとこで会うとは思わなかった」
「ちゃんと化粧をしておけばよかった」

未練が残った言葉だけが聞こえてきて
それ以上、お互いは何も話さなかった。

スマホをポケットから取り出し
SNSを開いてフォロー中を見る。

まだ、フォローをしている元カノがいて
でも、何か話す話題なんて思いつかない。

最後の1つを箸でつまんで口に入れて
スマホをポケットにしまい、席を立つ。

「またフォローしようかな」
女の子がそう言っていたが。

僕はもう、席に座らなかった。

--