2026-05-07
『屈辱的な言葉』
「この世で1番屈辱的な言葉って何かな」
一緒にカラオケへと来ていた友達が
ふと、そんなことを僕に言ってきた。
「さては、誰かに屈辱的なこと言われた?」
「お前さんを傷付けるなんてそいつ嫌だね」
友達を庇うような形で返事をして
注いでいたコーラを一口だけ飲む。
何も歌う曲を入れていないから
モニターに広告みたいな映像が
ただ流れ続けていて、少し煩い。
音量を下げて、ポテトフライを1本掴み
口の中に含んで、咀嚼をして飲み込んだ。
「誰かに言われたわけではなくて」
「大切な人が言われたみたいでさ」
「言い返せって言いたかったけど」
「その人はまだ好きみたいだから」
言い切った友達は「トイレ」と言ってから
ポテトを1本掴み、カラオケルームを出た。
僕はスマホで「屈辱的とは」と調べてみて
どういう意味が込められているのか知った。
無性に何かを歌いたくなって『紫陽花』を入れ
マイクを掴んで、お構いなしに熱唱してやった。
熱唱していた僕を気遣ったのだろうか。
歌い終わりと同時に友達は帰ってきた。
「あのさ、世界で1番屈辱的な言葉思いついた」
片手にコップを持っている友達の目を見て言う。
「なに、相当屈辱的なのだといいんだけど」
友達は期待をしていて、目を輝かせている。
「どうか、お幸せで」
その言葉を友達に伝えてから続けるようにして
「この言葉、突き放された感じがする」と言い
友達がどんな反応をするのか表情を伺ってみる。
目を見開いていて、何かに気付いた様子で
「お前、やっぱり作家なんだ、凄いわ」と
よく分からないまま友達は褒め続けてきた。
「満足いったんならよかったよ、じゃあ何か歌え」
友達に言うけれど、スマホを弄りだしてしまった。
僕は『Close to you』を入れて歌うのだけど
英語の歌詞だからその雰囲気で歌うしかない。
時たまに鼻歌も交じりながら歌い終え
「これって和訳がいいんだよ」と言う。
「知ってる、これめっちゃ好きなやつ」
「でもお前の声だとなんか響かないな」
友達が冗談を言ってきて、突っついた。
ピコン、と通知音が鳴った。
友達のスマホに通知が届く。
「言ってみる、いつもありがとう」
見知らぬ女の子からの連絡だった。
「見るなよ、可愛いだろ」
自慢してきて、少し怠い。
その子には好きな人がいて
でも屈辱的なことを言われ
落ち込んでしまったところ。
友達はその子のことを好きなのか
自分事のように考えて悩んでいた。
きっと、ついさっきスマホを弄っていたのは
僕が言ったことを自分なりに送ったのだろう。
「ふーん、その子のこと好きなんだ」
目を細めて、友達を茶化してみるが。
「うん、好きだよ。傷付いてほしくない」
真っ直ぐな言葉だけを返されてしまった。
僕は「どうか、お幸せに」と言いかけたけど
「その恋、叶うといいな」とだけ言い残した。
--
『屈辱的な言葉』
「この世で1番屈辱的な言葉って何かな」
一緒にカラオケへと来ていた友達が
ふと、そんなことを僕に言ってきた。
「さては、誰かに屈辱的なこと言われた?」
「お前さんを傷付けるなんてそいつ嫌だね」
友達を庇うような形で返事をして
注いでいたコーラを一口だけ飲む。
何も歌う曲を入れていないから
モニターに広告みたいな映像が
ただ流れ続けていて、少し煩い。
音量を下げて、ポテトフライを1本掴み
口の中に含んで、咀嚼をして飲み込んだ。
「誰かに言われたわけではなくて」
「大切な人が言われたみたいでさ」
「言い返せって言いたかったけど」
「その人はまだ好きみたいだから」
言い切った友達は「トイレ」と言ってから
ポテトを1本掴み、カラオケルームを出た。
僕はスマホで「屈辱的とは」と調べてみて
どういう意味が込められているのか知った。
無性に何かを歌いたくなって『紫陽花』を入れ
マイクを掴んで、お構いなしに熱唱してやった。
熱唱していた僕を気遣ったのだろうか。
歌い終わりと同時に友達は帰ってきた。
「あのさ、世界で1番屈辱的な言葉思いついた」
片手にコップを持っている友達の目を見て言う。
「なに、相当屈辱的なのだといいんだけど」
友達は期待をしていて、目を輝かせている。
「どうか、お幸せで」
その言葉を友達に伝えてから続けるようにして
「この言葉、突き放された感じがする」と言い
友達がどんな反応をするのか表情を伺ってみる。
目を見開いていて、何かに気付いた様子で
「お前、やっぱり作家なんだ、凄いわ」と
よく分からないまま友達は褒め続けてきた。
「満足いったんならよかったよ、じゃあ何か歌え」
友達に言うけれど、スマホを弄りだしてしまった。
僕は『Close to you』を入れて歌うのだけど
英語の歌詞だからその雰囲気で歌うしかない。
時たまに鼻歌も交じりながら歌い終え
「これって和訳がいいんだよ」と言う。
「知ってる、これめっちゃ好きなやつ」
「でもお前の声だとなんか響かないな」
友達が冗談を言ってきて、突っついた。
ピコン、と通知音が鳴った。
友達のスマホに通知が届く。
「言ってみる、いつもありがとう」
見知らぬ女の子からの連絡だった。
「見るなよ、可愛いだろ」
自慢してきて、少し怠い。
その子には好きな人がいて
でも屈辱的なことを言われ
落ち込んでしまったところ。
友達はその子のことを好きなのか
自分事のように考えて悩んでいた。
きっと、ついさっきスマホを弄っていたのは
僕が言ったことを自分なりに送ったのだろう。
「ふーん、その子のこと好きなんだ」
目を細めて、友達を茶化してみるが。
「うん、好きだよ。傷付いてほしくない」
真っ直ぐな言葉だけを返されてしまった。
僕は「どうか、お幸せに」と言いかけたけど
「その恋、叶うといいな」とだけ言い残した。
--



