涼太は耳を塞ぎ、顰めっ面をしている。彼女は意に介さないようで、軽々と答えた。
そこで佐伯が静かに声を出し、手を上げた。二人は完全に忘れていたようで、小さく声を上げていた。
しかし佐伯はそんなことよりも、大事なことがあった。神妙な面持ちで、世界で一番大事なことを告げた。
その様子を見て、完全に呆れていた。二人の発言を聞き、佐伯は本気で照れていた。
「あー、はいはい。怖かったね〜。でも君たち、結局最後はお互い良ければいいって雰囲気になってたじゃん? 私、背中押してあげただけだし? ……ま、ちょっとやりすぎたのは、めんご〜☆」
彼女は軽々しく、適当に答える。悪いことをしたという考えが、微塵もないからだ。
それどころか、自分を愛のキューピットとでも思っている。そんな素振りを見せるため、開いた口が閉じない。
二人は思考停止し、固まっている。佐伯は眼鏡を直し、静かに睨みつけている。
パァン! と、光って悪霊が消え、三人は気を失った。涼太は陽向を咄嗟に抱きしめ、守った。
「……夢、か? 良かった、あんなクソみたいなミッション……」
「……なあ、陽向。さっきの【愛を誓う】ミッションの時の声、結構震えてたけど。あれも夢だと思って忘れる?」
「っ……!! お前、覚えてんのかよ!!」
「忘れるわけないだろ。あんなに可愛い顔して俺に縋り付いてきたんだから。……データ、脳内に保存済みだよ」
「……はぁ。8月14日、最高のロケーションで推しの誕生日キスかよ。三次元は解釈違いだって言ってんのに、手が勝手にシャッター切っちゃうわ。……おめでとう、陽向。涼太、後でこの写真送るからな」
三人が目を覚ますと、いつもの校舎に戻っていた。裏庭に倒れており、祠も壊れたままだった。
涼太は陽向を抱きしめており、隣にはパジャマ姿の佐伯が倒れていた。涼太は陽向に怪我がないか、確認し安堵していた。
陽向も涼太に抱きつき、静かに深呼吸していた。佐伯のことは忘れているのか、眼中にない。
三人は立ち上がり、空を見上げた。満天の星空で、間違いなくいつもの日常だった。
陽向は胸を撫で下ろし、ボソッと呟いた。涼太は彼を抱きしめ、いたずらっ子の笑顔を浮かべる。
耳元で囁くと、彼の耳は真っ赤に染まった。涼太の顔を見ると、穏やかに笑っていた。
その笑顔に見惚れてしまい、静かに抱きついた。涼太は腰と背中を支え、二人は自然にキスをした。
佐伯は呆れつつ撮影しているが、ニヤニヤしている。眠そうにしていたが、幸せそうな笑顔である。
「……ちょうど0時だ。陽向、誕生日おめでとう」
「は……? あ? 今日、14日か……。……スパイク! いいのか」
「ああ、お前のために買ったんだ。バイト大変だったんだぜ」
「お前ん家の、ラーメン屋のバイトだろ」
「バレたか」
「だけど、サンキュな。いっ……しょう、大事にする」
「プロポーズか」
「勝手に受け取っておけよ」
「りょーかい」
涼太は陽向の頭を撫で、優しい笑顔で微笑んだ。スマホの時計で、ニヤリとした。
バッグからスパイクを取り出し、陽向は目を見開き驚いていた。直ぐに涙目になり、大喜びしている。
少しだけ素直になったのか、スパイクを抱きしめてお礼を告げる。涼太は思っていた反応と少し違ったようで、面食らっていた。
だけど直ぐにニヤニヤ顔になり、揶揄っていた。陽向は耳まで真っ赤にし、肯定していた。
涼太はその反応を見て、全身が沸騰するような感覚に陥った。陽向を抱きしめ、嬉しそうに微笑んだ。
二人は微笑み合い、自然とキスをした。佐伯はその様子を見つめ、静かに親指を立てた。
親友を心の底から祝福する顔を浮かべ、スマホの動画を回していた。そこには邪な感情など、おそらく皆無である。
「それはそれとして! ……めんご、で済むと思ってんのか? 俺がどれだけ計算を狂わされて、どれだけ心臓を壊しそうになったか!」
「祠を壊したのは悪かったけどよ……! 男同士で何させやがんだ! 俺の……俺の純情、返しやがれクソ霊!!」
「……は? あいつなんて言った? めんご? 三次元のカップリングを無理やり成立させておいて、その程度の解釈《謝罪》で済ませるのか!?」
「……そこかよ、お前の怒るポイント」
「もういい。……腹減った」
涼太は、これまでにない冷徹なオーラを放っている。腕を組み、怒りで体が震えている。
陽向は拳をボキボキ鳴らしながら、戦士の目をしている。自分が悪いと分かってはいるが、納得がいかない。
――そりゃあ、涼太と付き合えたことは感謝する! だけど、それとこれとは話が別だっ!
佐伯も憤慨しているが、二人とは違う種類だった。幽霊に憑依されても、されていなくても変わらない。
そんな彼を見て、二人は呆れていた。バカバカしくなって、諦めることにした。
「俺の誕生日は1月1日なんだけど……。正月って、どこもお店開いてないよな? だったら、一日中お前の家でプレゼントを堪能させてもらおうかな」
「……っ、変な言い方すんな! 飯ぐらい作ってやるよ、飯ぐらい!」
「うわああああああ! 俺の……俺の脳内ハードディスクを三次元の生々しい絡みで汚すな! スパダリ? 現実でやるな! 画面の向こうでやれ!!」
「お前、あんなに自然の摂理とか言ってた癖に……。戻ったら戻ったで、相変わらず面倒くさいな」
涼太は陽向を抱きしめて、優しく微笑んだ。頬を触り、左耳のホクロを慈しむように撫でた。
陽向は体をビクンと震わせ、涙目で涼太を見つめる。胸に両手を置き、お互いに見つめ合った。
半年以上先のことだが、正月は涼太の誕生日である。彼氏である陽向の誕生日を、今日無事に祝うことができた。
毎年必ず、両家で集まっている。親戚よりも仲が深く、家族のように過ごしてきた。
しかし来年の正月は、意味合いが変わってくる。それもあってか、涼太は心から楽しみにしていた。
意味深な発言をし、陽向を揶揄っている。耳まで真っ赤になって、涼太の胸をポカポカ叩いている。
涼太は笑っており、仲睦まじい。佐伯はその様子を見つめ、大声で怒っている。
しかし発言とは真逆で、顔はニヤニヤしている。締まりのない顔をしており、ここに誰よりも幸せそうである。
文句を言いつつも、カメラモードで保存している。涼太は呆れつつも嬉しそうにしており、陽向は顔を真っ赤にしていた。
夜も遅いため、佐伯もサッカー部に混じって学校で寝ることにした。次の日、先生に怒られたのは言うまでもない。
「二度と出るなよ、クソ霊」
「俺は、あいつに感謝してるよ。……おかげでお前を捕まえられたからね」
祠の中から、微かに
「……末長く爆発しろ〜」
「わかりみが深い。これから、BL映画を見に行こう」
そこで佐伯が静かに声を出し、手を上げた。二人は完全に忘れていたようで、小さく声を上げていた。
しかし佐伯はそんなことよりも、大事なことがあった。神妙な面持ちで、世界で一番大事なことを告げた。
その様子を見て、完全に呆れていた。二人の発言を聞き、佐伯は本気で照れていた。
「あー、はいはい。怖かったね〜。でも君たち、結局最後はお互い良ければいいって雰囲気になってたじゃん? 私、背中押してあげただけだし? ……ま、ちょっとやりすぎたのは、めんご〜☆」
彼女は軽々しく、適当に答える。悪いことをしたという考えが、微塵もないからだ。
それどころか、自分を愛のキューピットとでも思っている。そんな素振りを見せるため、開いた口が閉じない。
二人は思考停止し、固まっている。佐伯は眼鏡を直し、静かに睨みつけている。
パァン! と、光って悪霊が消え、三人は気を失った。涼太は陽向を咄嗟に抱きしめ、守った。
「……夢、か? 良かった、あんなクソみたいなミッション……」
「……なあ、陽向。さっきの【愛を誓う】ミッションの時の声、結構震えてたけど。あれも夢だと思って忘れる?」
「っ……!! お前、覚えてんのかよ!!」
「忘れるわけないだろ。あんなに可愛い顔して俺に縋り付いてきたんだから。……データ、脳内に保存済みだよ」
「……はぁ。8月14日、最高のロケーションで推しの誕生日キスかよ。三次元は解釈違いだって言ってんのに、手が勝手にシャッター切っちゃうわ。……おめでとう、陽向。涼太、後でこの写真送るからな」
三人が目を覚ますと、いつもの校舎に戻っていた。裏庭に倒れており、祠も壊れたままだった。
涼太は陽向を抱きしめており、隣にはパジャマ姿の佐伯が倒れていた。涼太は陽向に怪我がないか、確認し安堵していた。
陽向も涼太に抱きつき、静かに深呼吸していた。佐伯のことは忘れているのか、眼中にない。
三人は立ち上がり、空を見上げた。満天の星空で、間違いなくいつもの日常だった。
陽向は胸を撫で下ろし、ボソッと呟いた。涼太は彼を抱きしめ、いたずらっ子の笑顔を浮かべる。
耳元で囁くと、彼の耳は真っ赤に染まった。涼太の顔を見ると、穏やかに笑っていた。
その笑顔に見惚れてしまい、静かに抱きついた。涼太は腰と背中を支え、二人は自然にキスをした。
佐伯は呆れつつ撮影しているが、ニヤニヤしている。眠そうにしていたが、幸せそうな笑顔である。
「……ちょうど0時だ。陽向、誕生日おめでとう」
「は……? あ? 今日、14日か……。……スパイク! いいのか」
「ああ、お前のために買ったんだ。バイト大変だったんだぜ」
「お前ん家の、ラーメン屋のバイトだろ」
「バレたか」
「だけど、サンキュな。いっ……しょう、大事にする」
「プロポーズか」
「勝手に受け取っておけよ」
「りょーかい」
涼太は陽向の頭を撫で、優しい笑顔で微笑んだ。スマホの時計で、ニヤリとした。
バッグからスパイクを取り出し、陽向は目を見開き驚いていた。直ぐに涙目になり、大喜びしている。
少しだけ素直になったのか、スパイクを抱きしめてお礼を告げる。涼太は思っていた反応と少し違ったようで、面食らっていた。
だけど直ぐにニヤニヤ顔になり、揶揄っていた。陽向は耳まで真っ赤にし、肯定していた。
涼太はその反応を見て、全身が沸騰するような感覚に陥った。陽向を抱きしめ、嬉しそうに微笑んだ。
二人は微笑み合い、自然とキスをした。佐伯はその様子を見つめ、静かに親指を立てた。
親友を心の底から祝福する顔を浮かべ、スマホの動画を回していた。そこには邪な感情など、おそらく皆無である。
「それはそれとして! ……めんご、で済むと思ってんのか? 俺がどれだけ計算を狂わされて、どれだけ心臓を壊しそうになったか!」
「祠を壊したのは悪かったけどよ……! 男同士で何させやがんだ! 俺の……俺の純情、返しやがれクソ霊!!」
「……は? あいつなんて言った? めんご? 三次元のカップリングを無理やり成立させておいて、その程度の解釈《謝罪》で済ませるのか!?」
「……そこかよ、お前の怒るポイント」
「もういい。……腹減った」
涼太は、これまでにない冷徹なオーラを放っている。腕を組み、怒りで体が震えている。
陽向は拳をボキボキ鳴らしながら、戦士の目をしている。自分が悪いと分かってはいるが、納得がいかない。
――そりゃあ、涼太と付き合えたことは感謝する! だけど、それとこれとは話が別だっ!
佐伯も憤慨しているが、二人とは違う種類だった。幽霊に憑依されても、されていなくても変わらない。
そんな彼を見て、二人は呆れていた。バカバカしくなって、諦めることにした。
「俺の誕生日は1月1日なんだけど……。正月って、どこもお店開いてないよな? だったら、一日中お前の家でプレゼントを堪能させてもらおうかな」
「……っ、変な言い方すんな! 飯ぐらい作ってやるよ、飯ぐらい!」
「うわああああああ! 俺の……俺の脳内ハードディスクを三次元の生々しい絡みで汚すな! スパダリ? 現実でやるな! 画面の向こうでやれ!!」
「お前、あんなに自然の摂理とか言ってた癖に……。戻ったら戻ったで、相変わらず面倒くさいな」
涼太は陽向を抱きしめて、優しく微笑んだ。頬を触り、左耳のホクロを慈しむように撫でた。
陽向は体をビクンと震わせ、涙目で涼太を見つめる。胸に両手を置き、お互いに見つめ合った。
半年以上先のことだが、正月は涼太の誕生日である。彼氏である陽向の誕生日を、今日無事に祝うことができた。
毎年必ず、両家で集まっている。親戚よりも仲が深く、家族のように過ごしてきた。
しかし来年の正月は、意味合いが変わってくる。それもあってか、涼太は心から楽しみにしていた。
意味深な発言をし、陽向を揶揄っている。耳まで真っ赤になって、涼太の胸をポカポカ叩いている。
涼太は笑っており、仲睦まじい。佐伯はその様子を見つめ、大声で怒っている。
しかし発言とは真逆で、顔はニヤニヤしている。締まりのない顔をしており、ここに誰よりも幸せそうである。
文句を言いつつも、カメラモードで保存している。涼太は呆れつつも嬉しそうにしており、陽向は顔を真っ赤にしていた。
夜も遅いため、佐伯もサッカー部に混じって学校で寝ることにした。次の日、先生に怒られたのは言うまでもない。
「二度と出るなよ、クソ霊」
「俺は、あいつに感謝してるよ。……おかげでお前を捕まえられたからね」
祠の中から、微かに
「……末長く爆発しろ〜」
「わかりみが深い。これから、BL映画を見に行こう」

