「窓の外」
…コンコン
…コンコン
…保健室の引戸が廊下からノックされている。
「失礼しまーす」
二人の上級生と、下級生が一人、入ってきた。
二人の後から、下級生がつづき、二人は下級生をそこにあったパイプ椅子に座らせた。
「……」
彼女達は上級生二人が美術部で、廊下で転んでいた下級生を連れてきたところだった。
とりあえず、引戸を閉めた。
けがをしているのは下級生で、片方の足の膝頭が少しあかくなっている。
「え~ ていうか、伊吹先生は?」
上級生二人は保健室を見回してみるが、デスク、椅子はあっても、先生はいない。
(あっ)
二人の視線が、室内の窓にむいていた。
養護教諭の伊吹先生はグラウンドを走っていた。
白い服が、グラウンドとなっている敷地を遠のいていくのが見えた。
保健室から生徒三人がみつめる。
二人は顔を見あわせていた。
(このままここに下級生の子をまたせていくわけにも…いかないし)
一人が一方の顔をみる。頷く。
二人は自分達でやってしまうことにした。
見回すと、保健室のなかには、棚、水道、手洗い場、カーテンがひらかれている複数のベッド…がある。
一人がガラスの戸棚を開けた。
ガーゼ、絆創膏テープ、消毒液を取りだし、ピンセットに脱脂綿を浸した液でちょちょいのちょい…とはならず、二人は黙々と下級生の消毒をし、傷口をガーゼで覆った。
「………」
手もちぶさたになると、二人の視線はまた窓にいった。先生がまだ走っているのが見えた。
たったったったっ
窓から校庭の光景がみえている。
「…ハッハッハッ‥ハァ――ッ」
グラウンドを走っていた伊吹先生は、後ろからやってきた口裂け女に喰い殺された。
「――――――…!」
保険の先生が喰い殺されるのを生徒が目撃した。
花が静かに咲くように、グラウンドで静かにその光景があった。
「―――………………………。」
美術部の子達は、ぽかん、としていた。

