「あ、悪い」という声と共に、彼の指より太く長い指が重なった。
日焼けしたその指先にーーそして先ほど聞こえた声にもーー覚えがある。その瞬間、凛の心臓がなぜか一瞬ドキッと跳ね上がる。
「ああ、いや。こちらこそ悪かった……って、矢張りお前か」
見上げた先に見知った顔があり、凛は呆れたように苦笑して目を伏せる。白目の多いぎょろりとした目で匠海が、凛を見下ろしていた。
「なんだ凛か。お前、今日は部活に行かなくていいのか?」
低く落ち着いた声がすぐ近くで響く。
「ああ。今日は部活に出なくても問題ない。そう言うお前こそ部活はどうした」
「俺の方は今日は自主トレでな。少しだけ部活に顔を出した。勿論トレーニングはしっかりやってきたぞ。こういう鍛錬は日々が物を言うからな。勇に負けるわけにもいかん」
「自分に厳しいお前らしいな。本当に匠海は部活の鬼だな」
長いまつ毛を伏せて微笑みながら、凛は心の中で「そういうところを昔から尊敬しているのだ」と呟いた。
決して言葉にするつもりはないーー多分一生、口にしないーー本音だ。
一瞬の間のあと、匠海は静かに指を離した。温もりが呆気なく消える。
凛が思わず匠海を見上げると、彼は普段と変わらない様子で真っ直ぐにこちらを見下ろし、
「じゃあ俺はあっちで別の本を読むから。これはお前が読め」
淡々とした口調で言いながら背後を親指で指し示す。
日焼けしたその指先にーーそして先ほど聞こえた声にもーー覚えがある。その瞬間、凛の心臓がなぜか一瞬ドキッと跳ね上がる。
「ああ、いや。こちらこそ悪かった……って、矢張りお前か」
見上げた先に見知った顔があり、凛は呆れたように苦笑して目を伏せる。白目の多いぎょろりとした目で匠海が、凛を見下ろしていた。
「なんだ凛か。お前、今日は部活に行かなくていいのか?」
低く落ち着いた声がすぐ近くで響く。
「ああ。今日は部活に出なくても問題ない。そう言うお前こそ部活はどうした」
「俺の方は今日は自主トレでな。少しだけ部活に顔を出した。勿論トレーニングはしっかりやってきたぞ。こういう鍛錬は日々が物を言うからな。勇に負けるわけにもいかん」
「自分に厳しいお前らしいな。本当に匠海は部活の鬼だな」
長いまつ毛を伏せて微笑みながら、凛は心の中で「そういうところを昔から尊敬しているのだ」と呟いた。
決して言葉にするつもりはないーー多分一生、口にしないーー本音だ。
一瞬の間のあと、匠海は静かに指を離した。温もりが呆気なく消える。
凛が思わず匠海を見上げると、彼は普段と変わらない様子で真っ直ぐにこちらを見下ろし、
「じゃあ俺はあっちで別の本を読むから。これはお前が読め」
淡々とした口調で言いながら背後を親指で指し示す。


