「じゃあ僕たちはそろそろ行くね。また明日ね、凛」
「何かあれば俺らも力を貸すから遠慮なく言えよ」
普段凛を取り囲む女子とは違い、押し付けがましくなく爽やかに言う友人に、凛の頬は自然と緩んだ。匠海の時と同様、心がスッと軽やかになる。
「ああ。ありがとう、お前たち」
廊下を歩き出す二人の後ろ姿を暫く見送り、凛は彼らと反対方向を歩いて行く。
放課後の図書室は人が少なく、室内はしんと静まり返っており、貸し出しデータを記録するパソコン二台の稼働音がはっきりと聞こえる。
できる限り足音を立てないよう歩き、一番奥にある本棚へ向かう。そして右端の上部に並んだ書籍の背表紙を見つめた。
こうして書籍を見ているだけで気分が落ち着く。凛の表情はまたもや柔らかく綻んだ。彼の顔は本棚に向き合っているため、その微笑みは誰にも見えない。
いつ如何なる時でも気を張っていて人前では滅多に笑わない彼だが、たまには気を抜いて笑うことがあっても良いし、凛だって一人の人間だ。
凛の家は家庭教育が厳しく、家の中ですら完璧な人間であることを求められることが多いが、本と共に過ごす時間は日頃の全てを忘れることができた。
凛は綺麗に並んでいる本の背表紙をじっくり眺めると、やがて長く白い指先で背表紙をなぞる。
そして分厚い書籍を取り出そうとした、その時、
「何かあれば俺らも力を貸すから遠慮なく言えよ」
普段凛を取り囲む女子とは違い、押し付けがましくなく爽やかに言う友人に、凛の頬は自然と緩んだ。匠海の時と同様、心がスッと軽やかになる。
「ああ。ありがとう、お前たち」
廊下を歩き出す二人の後ろ姿を暫く見送り、凛は彼らと反対方向を歩いて行く。
放課後の図書室は人が少なく、室内はしんと静まり返っており、貸し出しデータを記録するパソコン二台の稼働音がはっきりと聞こえる。
できる限り足音を立てないよう歩き、一番奥にある本棚へ向かう。そして右端の上部に並んだ書籍の背表紙を見つめた。
こうして書籍を見ているだけで気分が落ち着く。凛の表情はまたもや柔らかく綻んだ。彼の顔は本棚に向き合っているため、その微笑みは誰にも見えない。
いつ如何なる時でも気を張っていて人前では滅多に笑わない彼だが、たまには気を抜いて笑うことがあっても良いし、凛だって一人の人間だ。
凛の家は家庭教育が厳しく、家の中ですら完璧な人間であることを求められることが多いが、本と共に過ごす時間は日頃の全てを忘れることができた。
凛は綺麗に並んでいる本の背表紙をじっくり眺めると、やがて長く白い指先で背表紙をなぞる。
そして分厚い書籍を取り出そうとした、その時、


