切れ長の中にある美しい黒い瞳が真っ直ぐに匠海を捉える。
「お前がもう少し教室で待てるなら一緒に帰れるが……」
「気遣いは有難いが、この程度の傷なら平気だ」
匠海の言葉の意図を瞬時に汲み取った凛は静かに首を横に振った。
「私のことは心配は不要だ。お前は早く部活に戻れ」
「まあ、お前ならそう言うだろうと思ったけどな」
匠海は小さく息を吐きながら微笑んだ。厳つくて気難しく見える彼の顔に、気さくな表情が宿る。
「じゃあまた明日な。気をつけて帰れよ。何かあればいつでも俺に連絡してこい」
「ああ。ありがとう匠海」
凛が微笑み返してそう言うと、匠海はズボンのポケットに両手を突っ込み、すれ違うように彼の横を通って長い廊下を歩いて行く。
廊下は徐々に冷え始め、茜色の日差しは端に追いやられて深い闇の色にすっかり染まっていた。
だけど凛の心は先ほどより軽く、じんわりと温かいものがーー少しだけだがーー胸に広がっていった。
「お前がもう少し教室で待てるなら一緒に帰れるが……」
「気遣いは有難いが、この程度の傷なら平気だ」
匠海の言葉の意図を瞬時に汲み取った凛は静かに首を横に振った。
「私のことは心配は不要だ。お前は早く部活に戻れ」
「まあ、お前ならそう言うだろうと思ったけどな」
匠海は小さく息を吐きながら微笑んだ。厳つくて気難しく見える彼の顔に、気さくな表情が宿る。
「じゃあまた明日な。気をつけて帰れよ。何かあればいつでも俺に連絡してこい」
「ああ。ありがとう匠海」
凛が微笑み返してそう言うと、匠海はズボンのポケットに両手を突っ込み、すれ違うように彼の横を通って長い廊下を歩いて行く。
廊下は徐々に冷え始め、茜色の日差しは端に追いやられて深い闇の色にすっかり染まっていた。
だけど凛の心は先ほどより軽く、じんわりと温かいものがーー少しだけだがーー胸に広がっていった。


