華と番犬。

それから二人を暫く見つめた。勇は腕組みしながらもーー匠海と接しているにしては珍しくーー片方の口の端を上げてわずかに微笑んでいる。優作はまるで自分のことのように頬を緩めて幸せそうに笑っている。
二人は匠海の思いを真剣に受け止め、心から肯定してくれていた。
「それで今から会いに行くのかい」
「ああ。もう迷いはねえからな。凛のところへ行って、ちゃんと自分の気持ちを確認してくる」
廊下の窓から入り込む風が匠海の角切りにした短髪を静かに揺らす。
「たとえどんな結果になったとしても、後から必ず報告しろ」勇が力強く言う。
その隣で優作が穏やかに微笑みながら、少しからかうような口調で言った。
「なんだかんだで勇も匠海のこと応援してるんだねぇ」 
「ふんっ、俺はあいつに思われている凛のことを考えてアドバイスしてやっただけだ」
「ふふっ、君はいつも変なところで照れるよね。そういうところも好きだよ」
「ば、馬鹿言うな!」
そんな二人の甘いやり取りを背に、匠海は廊下を駆け出した。