移ろう色のような恋だった

「今日の練習はここまでー、急いで片付けして帰るぞー」
「はーい」
 部長からの言葉に部員は一斉に返事をした。
 私は陸上部に所属している。トラックと呼ばれる走る種目を中学からやっている。小さい頃から足が早く、走るのが好きだった。段々とタイムが縮んでくことに楽しさを感じていた。

「お疲れ様です」
 全体挨拶を終え、近くにいる先輩に挨拶をして帰る。
 すると、
「はゆーーーん!一緒に帰ろーーー!」
 呼ばれた方向に目を向けると、翌人が大きく手を振っていた。
「晴雨ちゃん彼氏いたの?」
「お〜」
 先輩や同級生から、ガヤが入る。
「違います!!おんなじクラスなだけです!!すみません、では失礼します!」
 その場にいるのは恥ずかしかったので、走って翌人のところへと行った。

「はっやーー!お疲れ!」
「ちょっと!あんなに大きな声で呼ばないでよ!恥ずかしいじゃん!」
「陸上部も帰りの挨拶も終わったし、別に一緒に帰りたかったからいいじゃん」
「次からは、私がグラウンドから出る時に声かけて!」
「じゃあ一緒に帰るのは別にいいんだ」
 そう言うと私の顔を見て、キラキラした笑顔を見せた。
 すると、チャイムが鳴り響いた。学校を閉める合図だ。
「よし、急ぐぞ!」
 翌人が私の手首を掴んで、走り出した。急に掴まれたので思わずドキッとする。校門までそのままだった。


「間に合った間に合った!はゆんは部活でも走ったからか、ちょっと疲れた?」
「別に大丈夫だよ!急に手掴まれたからびっくりしただけ!」
「へぇ〜ドキドキしてくれたんだ」
そう言いながら、私の顔を覗き込んできた。
「ちょっとそーゆーとこ!近いって!みんな変な勘違いするじゃん!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「え?なんて?」
 私とは反対方向を向いて言ったので、聞こえなかった。
「なんでもないから!」
 そう言うと、翌人が走り出した。
「あ!待ってよーー!」
 私は翌人を追いかけ、途中の踏切まで2人で走った。
「それにしてもさ」
「え?」
 私はハァハァと息切れをしながら声を出した。
「はゆんの走る姿ってかっこいいよな」
「え、あ、あ、ありがとう」
 突然褒められたので、思わず動揺した。
「俺ももっと速く走れるようにランニングしないとな」
「翌人は十分速いでしょ!逆に私は球技ダメだからなぁ。野球というかキャッチボールくらいはやれればなーって」
「じゃあいつか一緒にキャッチボールやる?」
「え、あ、じゃあいつかお願いします」
 思わず、OKしてしまった。休みの日にキャッチボールなんてカップルじゃん。もう後戻りはできなかった。
「よっしゃ、ていうかなんで敬語?」
 翌人は笑って言った。
 翌人はいつも直球に私に言葉をぶつけてくれている。彼の色はいつも鮮やかで羨ましい。私にも分けて欲しいくらいだ。