君だけがパーフェクト


「ほら、コレやるよ」
「何?えっ…」
「ヒヨコ」
「わー、可愛い!」
「だろー(笑)」
「どうしたの?亮太君の手作り?」
「うん、この前校外学習で陶芸やってさぁ。
俺は彫刻を選んで角材で置物を作ったんだけど、そのあまりで作ったヤツ。捨てるの勿体なかったから。
なんかシュウに似てない?」

亮太君、僕すごく嬉しいよ!絶対大切にする。
なんて、なんて、可愛いんだろう。
あまりで作ったって言ってるけど、僕にあげようって思ってくれた時点でもう合格じゃない?

亮太君に元気?ってメールしたら渡したいものがあるって返事が来て、ずっと行ってみたいってお願いしていたカフェでお茶を飲んでるところ。

「で、亮太君は何を作ったの?」
「あぁ、俺?俺はスズメを作ったかな〜。結構な力作で我ながら上出来だったよ」
「そうなんだ〜僕もそのスズメ見てみたいな。
見に行ってもいい?」
「ダメ」
「なんでいつもそんな意地悪言うんだよぉ」
「ごめん、ごめん、見せてやりたいけど俺の所にはないんだよなー」
「無いってどー言う事?」
「響が作ったのと交換したんだ」
「交換??」
「そうだよ、交換」
「ふーん、で響さんは何を作ったの?」
「なんだと思う?」
「分かんないよ!」
「バスケットボール。全く思いつかなかったよな〜」
「バスケットボールって…響さんバスケやってたの?」
「いや、やってない。アイツは運動より勉強が凄いんだよ」
「なんか・・・あざとい」
「えっ?」
「ううん、なんでも無い。最初から亮太君と交換するつもりでバスケットボールを作ったのかなあ〜なんて」
「それは無いだろうな、俺が交換しようって言ったんだから」

なんなんだー、なんかよく分からないけど怒りの炎がメラメラしてきたーっ!

「ほら、コレ、俺が作ったスズメ。で、こっちが響が作ったバスケットボール、なかなかいいだろ?」
「・・・・」
写真を見せられても嬉しくないな。
それに2人でツーショットとかあり得ないんだけど。
「あれ、なんか怒ってる?」
「僕ともツーショット撮ろうよ」
「おい、まて」

カシャッ

「ほら見てよ、僕と亮太君だってお似合いだよ」
「なんでそーなるんだよ」
「亮太君と響さんって…」
思わず聞きそうになったけどやめた。

亮太君は僕の事を弟みたいに可愛がってくれる。
きっと亮太君にとって僕は弟なんだ。
今はそれでもいいと思ってる。
今すぐじゃなくてもいい。いつか僕無しじゃいられなくなるなら何年でも待つよ。
それぐらい亮太君は僕にとって特別な存在なんだ。

「お待たせしました。こちらホットココアとカフェラテになります。あと小倉抹茶アイスのせホットケーキです。ごゆっくりどうぞ」
「わあ〜美味しそう!僕このホットケーキ食べてみたかったんだぁ。いただきまーす!」

うまぁーーっ、亮太君とだからこんな甘いデザートも食べに来れるんだ。お願いするとダメとか言いつつも結局付き合ってくれる。僕の友達はなかなか甘い物なんて食べに行ってくれないし、逆に気を使うんだよねー。
「美味い?」
「うん!」
嬉しそうな顔して食べてるなぁ。
俺、シュウが美味そうな顔をして食べてるのを見るのが好きなんだよな。
あどけないって言うか、子供みたい。
最後に2人で食べに行ったのっていつだっけ?
確か練習の帰りに小さなドーナツ屋さんでドーナツを1つ買って半分ずつしたのが最後かも。

「亮太君も一口食べなよ。はい、口開けて」
「俺はいいよ。そんな事より口の横に生クリームついてるぞ」
「えっ、どこ?」
「ほら、とってやるよ」
「ありがとう」
汚れた手をおしぼりで拭くのかと思ったら、普通にペロッて指を舐めてた。
亮太君以外でこんな事をしてくれる人は考えられないよ…。

「手、おしぼりで拭かなくてよかったの?」
「可愛い弟の口についたやつなんだから平気だろ。俺一人っ子だから、シュウの事は本当の弟みたいに思ってるよ。ただ、お前が俺の事になるとムキになるのが困るんだよなぁ。」
「うーーん、だって」
本人には言えないけど、好きな人が側にいて何か困ってたら助けてあげたいし、嫌がらせされてたらやっつけてやりたいって思うよね。
亮太君以外の人にはムキになんてならないよ。
あっ、だからダメなのか〜。

「ほらな…」

シュウが中1の時に俺達は初めて知り合った。
ついこの間まで小学生だったのがよく分かるくらいあどけなくて人見知りだったから、なんとなく気になって、1つ上の俺がよく世話を焼いていた。
そのうち一緒に練習したり、試合に行くようになって、シュウのお母さんとも顔を合わせるようになった。
聞いた話だとシュウのお父さんが病気で亡くなってから、お母さんがネイルの仕事で生活を支えてるって事だった。
シュウのお母さんは長い髪を1つに束ねた細身の綺麗な人だった。
いつも手にマニキュアをしていたのが印象的だったけど、今思えばネイリストだから当然だったんだな〜って思う。
お母さんは確か仙台出身って言ってたかな…。
近くに親戚とか頼る人が居ないから、シュウと仲良くしてくれてありがとうっていつもお礼を言われてた。
家に帰っても誰もいないからきっと寂しかったんだろうな。
シュウが俺を頼ってしまう気持ちもよく分かる。
でも俺離れしないとダメなんじゃ無いかって最近思ったりもしてる。
好きな子でもできて、自然に俺から離れてくれるのが1番いいんだけどなぁ。

「ご馳走様でした。あ〜っ、ずっと来たかったカフェにも来れてとおいしいものも食べれて、おまけにこんなかわいいヒヨコまでもらえて、今日は最高の1日かも」
「そうかー、なら良かった」

ピンコーンピンコーン

「あっ、メールだ」
「誰から?」
「友達〜、この前バーガーショップで会った…」
「僕、覚えてるよ。上村 サクさんと、不破 湊さんだよね?」
「おっ、凄いじゃん!一回会っただけなのによく覚えてるな」
「そりやぁ、覚えてるよ。亮太君の友達なんだし。亮太君の友達は、僕の友達でもあるから」
「シュウ、俺の友達よりお前の学校の友達を大切にしないとダメだろ。分かってるのか?」
「分かってるよ…」
「で、なんだったの、そのメール?」
「あっ、あぁ、サクから。今湊とボーリングに来てるんだけど、俺も来れないかって」
「行く!行く!行くって返事してしてよぉ」
「シュウ、今言ったばっかりだろー」
「だって、、、家に居てもつまらないし。
僕そんなに友達も多くないし」
「はあーっ、分かったよ。今からシュウを連れてそっち行くってメールするよ」
「やったー!ボウリングかぁ、久しぶりだなあ」
「あっ、響にも聞いてみようかな?」
「!!ヒビキ?」
その名前を聞くとなんでか僕の気持ちがメラメラする。
「あっ、でも急には無理かな?」
「4人でいいんじゃない?スポーツ好きには見えなかったけど〜」

ピンコン

「響からだ、あっ、遅れるけど行けるって」
「そう…」
くっそーーーっ、なんでだよお!どんな人なのか見定めなくては!!
「シュウ、もう全部食い終わった?出るぞ」
「はーーい」

サク君と湊君と仲良くなれるチャンスは嬉しいけど響さんはマークしないと…。
響さん?ヒビキ君?
やっぱり相手の懐に飛び込むんだったら響君がいいのか?
僕の方が絶対亮太君を好きなんだからなーーっ