君だけがパーフェクト


「今日のホームルームはこれで終わります。
明日の提出物、忘れないように〜。気をつけて帰れよ」
「はーーい」
先生が足早に教室を出て行った。
「ふわぁーーっ、やっと終わったなあ〜。
今日もよく頑張ったよな。俺達(笑)」
「なぁー亮太、今日は真っ直ぐ帰んの?」
「うん、そのつもりだけど。なんで?湊はどっか寄ってくの?」
「今日、新刊の漫画が出るんだよ。帰りに買いに行こうかなぁって思ってる」
「サクも同じこと言ってたぞ。あれ、そー言えばサクは?居なくないか?」
「あぁ、トイレに行くって言ってさっき出て行ったよ」
「トイレ?俺も行ってこようかなぁ」
「じゃあ、俺もついてこ」
「なんだよ、連れションかよー」
俺と湊はトイレに行くために廊下に出た。


ガヤガヤガヤガヤッ


「おい、あれってどこの学校の制服?」
「誰?あれ?」
「誰を探してるんだろう?」
「何しに来たの?まさかケンカ相手を探しに来たとか?それにしてはカッコいいんだけど〜」

ん??なんかやけに向こうのクラスが騒がしいなぁ。何かあったのか?

「なになに?どうした?」

俺と湊が何やら騒がしいクラスの子達を眺めていた時、ちょうどサクがトイレから出てきた。
「いや俺達にも分からないんだよ。トイレに行こうと思って来たんだけど、向こうのクラスが騒がしいから…何かあったのかなぁと思って見てたとこ」
「へぇーー」

「ねぇ亮太君知らない?青井 亮太っていうんだけど…」

何だか見覚えのある顔が向こうのクラスから歩いてきてる・・・。
「すいません、青井亮太君って何組か知ってますか?」

「おい!亮太、あの子ってバーガーショップで会ったお前の後輩じゃないか?!」
「えっ!やっぱりそうだよな!なんでシュウがここに??」
俺と湊とサクはお互いの顔を見合わせた。

「シュウ、お前、なんでここにいるんだよ!!」
「あっ、亮太くーーん。良かった、やっと会えた」
「よかったじゃないよ〜なんだよ、その服!
他校の制服で来たら目立つだろー。とにかく俺の上着きろよ。早く着て!」
「う、うん」
俺のブレザーをシュウに手渡した。
「お前、目立ちすぎだよ〜、ちょっとこっち来て」
「亮太、どこ行くの?」
湊とサクが心配そうに俺を見ている。
「悪い。ちょっとこいつを連れて目立たないとこに行ってくるわ」
「おっ、おぅ、そうだな」
「シュウ、ほら行くぞ」
俺はシュウの腕を掴むと、中通路の方へ走り出した。
「シュウ、ほら俺の後について来て」
「待ってよ〜〜、亮太くーーん」
ほとぼりが覚めるまで美術室で身をひそめていよう。今の俺に思いつく精一杯の事がこれだった。


「なんか、やけに廊下の方が騒がしいなぁ。何かあったのかなあ?」
「おい、響、なんか、他校の生徒がうちの学校に入り込んできたらしいよ」
「うそっ、なんで?」
「誰かを探してるみたいな?」
「まさか〜乗り込みに来たってこと?」
「いや、そういう訳じゃなくて、ただ単に誰かを探してるみたいな」
「誰か…誰かって誰を?」
「たしか〜なんとか亮太って言ってたような〜?」

ガタッ!

思わず椅子から立ち上がってしまった。
『リョウタ』
僕は教室から廊下に出て、左右を確認してみた。
「あっ、あそこにいるのは、亮太と仲の良い湊君とサク君だ」
思わず、2人の所まで走って行った。
「ごめん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、亮太って…」
「あそこだよ」
2人が指差した方に目をやると、亮太が中通路を走っているのが見えた。
「亮太の後ろを走っている子って誰?」
「亮太の中学の時の後輩なんだけど、急に来ちゃったみたいでさぁー。とりあえず目立たないところに連れて行くって…走って行っちゃったよ」
「亮太の中学の時の後輩?」
「そーみたいだよ。この前寄り道した時に偶然会ってさあ、確か朝倉 柊斗って名前だったような?湊〜、そうだったよな?」
「うん、確かそう言ってたよ。久しぶりに会った後輩みたいな?でも学園ドラマみたいじゃない?わざわざ押しかけてくるなんて〜」
「そうなんだ」
僕はなんだか嫌な胸騒ぎを覚えた。


*****


「シュウーーーっつ、なんでお前は勝手に俺の学校に来てんだよ?しかもその制服なに?悪目立ちしすぎだろー」
「だって、亮太君がちっとも僕と会ってくれないからこーするしか無かったんだよ」
「だからっていくらなんでも…」
「へへへ、ごめんね。怒ってる?」

「はぁー、もういいよ。俺もあんなに会いたいって言ってくれてたのに意地悪言って会わなかった訳だし」
可愛い顔をしてしょぼくれたシュウを見たら何も言えなくなってしまった。
「ねえ、ここってなんの教室?美術とか?」
「そうだよ。静かでいいだろ。俺、いま部活で絵を描いてるんだ」
「えっ、亮太君が?あっ、別にダジャレを言った訳じゃないよ」
「分かってるよ。逆にシュールで面白かったぞ」
「すぐ馬鹿にして〜」
「ごめん、ごめん。でもシュウ、もう突然学校に来るとか無しだからな。分かったか?」
「うん、来ないよ〜約束する」
「分かってくれたんならいいけど、でもお前、背が伸びてカッコ良くなったよなぁー」
「本当に?亮太君にそう言って貰えるのが一番嬉しいなぁ」
「そうか…。」
わざわざ1人でこんな所まで来るなんて、勇気いっただろうな。
いや、俺も恥ずかしかったし!!
そんなこんなでシュウと話をしていたら結構いい時間が過ぎていった気がする。
もうそろそろ出て行ってもいい頃かな?

「シュウ、一緒に帰るか?流石に皆んなもう、 帰って行っただろうし」
「うん、ねえ〜亮太君、帰りにどっか寄ってかない?」
「どっか?そうだなぁ〜、本屋ぐらいなら寄ってもいいけど」
「本屋?なんで?」
「今日新刊の漫画が出るらしくってさぁ、友達が買うって言ってたからなんか気になってたんだよな」
「友達って、この前バーガーショップであった人達?」
「そうそう、あの2人!覚えてるんだ」
「覚えてるよ。亮太君の友達なんだから。
いいなぁ、いつも一緒にいれて。僕だっていたいのに…」
「分かったよ。今度シュウも誘うから」
「絶対だよ!」
こんなに嬉しそうな顔をして。
今まで可哀想な事したなぁ。
「でも1つだけ言っておくけど、俺の事にはムキになるなよ、いいな」
「うん、勿論だよ。分かってる」
「じゃあ、行こうか」


ガラガラガラガラッ

美術室の扉が開いたと思ったら、響がひょっこり顔を覗かせた。
「亮太、なんかあったの?走って行く姿が見えたから、探してたんだ」
「おっ、響か、いや、大した事では無いんだけど…」
「亮太君、誰,この人?」
俺の腕を引っ張ってシュウがけげんそうな顔をしている。
「えっとおー、あっ、俺の事でムキにならないって約束したよな」
「別にムキになってないよ。誰かなぁって思って聞いただけ」
「僕は中村 響 亮太とは同級生で、その友達…」
「ふーん、同じクラスの人なの?」
「いや、違うけど」
「もう、これくらいでいいだろ。響、俺達これから本屋いくけど、響も一緒に行かない?」
「ううん、僕は遠慮しておくよ」
「ほら亮太君、もう行こうよ〜。あっ、響さん?
僕の名前は朝倉 柊斗。亮太君の一つ下です」
「あっ、うん」
「じゃあシュウ行こうか。響、また明日な〜」
「うん、また明日」

亮太のブレザーを着ていたあの朝倉 柊斗くん
単なる後輩では終わらない気がしてならない

やっとトラウマから解放されたと思ったのになぁ

手放しで解放してくれる訳ではなさそうだ。

「美しいものは、誰の目から見ても美しいのかなぁ?僕だけが気づいてたらよかったのに」

こんな所まで、1人で来るんだからあの子、亮太の事が相当好きなんだろうな。
さっき本屋に行くって言ってたけど。
僕も攻略本でも買いに行こうかな。恋についての攻略本なんて無いか〜。


*****

「本当にあった!これが新刊の漫画かぁ〜、凄い推してるんだなぁ」
「亮太君、漫画も読むんだ〜」
「俺はなんでも読む派だから」
「僕も買ってみようかなぁ」
「ん?買わなくてもいいよ」
「へっ?」
「買わなくても俺が読んだら貸してやるよ」
「ありがとう!」
あぁ、やっぱり亮太君はかっこいいなぁ。
亮太君は僕の憧れの人なんだ。人見知りでなかなか打ち解けれない性格の僕がバスケで頑張ってこれたのも亮太君のお陰。
いつも僕に話しかけてくれて、練習にも付き合ってくれて。
誰にでも平等に優しくて…
なのにあのクソヤローッ
僕の大切な亮太君の腕を折りやがって!

あの日僕は見たんだ。
亮太君が今にも泣きそうな顔をして部室の前から離れて行ったのを。気になった僕はこっそり部室の様子を覗いてみた。
そしたらアイツわざと亮太君に怪我をさせたって言てるじゃないか!しかも嫉妬が原因だなんて馬鹿げてる。
あの時は我慢したけど、亮太君はバスケを辞めてアイツはのうのうと続けてるのが許せなかった。だから天罰を与えてやった。それで結果、僕自信も部活を辞める事になったけど後悔はない。

それより亮太君と会えなくなったしまった事の方が悲しかった。
だからこのチャンスを僕は絶対に逃がさない。

「最近の本屋ってさ、文房具とかも売ってんだよな」
「僕も文具とか見るの好きだよ」
「なんか特設コーナーには子供のおもちゃとかもあるんだなぁ。面白いよな」
「わっ、本当だ。可愛い」
「俺の友達が妹の誕プレ探してたんだよな。SF小説よりこっちの方が喜びそうなんだけど」
「妹の誕プレ?」
「ガラス製のおもちゃとかもあるじゃん。これビー玉…とおはじき」
「どこどこ?どこにビー玉あるの?亮太くん?聞いてる…?」
「響が好きそうだなぁ」
「えっ、ヒビキ・・・」
なんて顔してるんだよ亮太君、、、響って今日美術室で会った人だよね…!亮太君にこんな顔させるなんて許せないー!
絶対邪魔するんだから…フッ