君だけがパーフェクト



「やっぱり響って本を選ぶセンスがすごいよな。
2冊とも面白くて、あっという間に読んじゃったよ」

数学の時間だけ同じクラスになれるから、思い切って話しかけてみた。
抱きしめられたあの日から、なんとなく話しかけづらいっていうか恥ずかしいっていうか。
響からは、『驚かせてごめん』の短いメールが1回来ただけ

「もう読んじゃったの?早いね、、次も何か読みたい?」
「読みたい!読みたいけど、、勉強もしないといけないし。
最近、勉強に追いつくのが精一杯でさぁ、塾に行ってても完璧にわかってる訳じゃないんだよなぁ」
「そーなの?」
「うん、悩める男子高校生…な〜んてね」
「ふーん、僕でよかったら勉強教えようか?」
「えっ、いいの?」
「うまく教えれるかどーかは分かんないけど」
「やったぁーありがとう!」
「別にどうってこと無いよ。今日の夜メールする」

授業を終えて自分のクラスに戻ってきた。

「普通にしゃべれてよかった」
ん??俺、なんでこんなに喜んでるんだ?


「おい、亮太、なにニヤニヤしてんだよ」
「えっ、あっ、湊か。俺ニヤニヤしてた?」
「おーっ、また誰かに告られたとか?」
「そんな事でニヤニヤするかあーっ」
「お前はそうかもしれないけど、普通の男子高校生だったら告られてニヤニヤするのは当たり前だよ」
「そーなのか…俺やっぱり好きなのか?」
「えっ、なんて?」
「いや、なんでもないよ」
別に俺は響に告られたわけでも何でもない。
抱きしめられただけ。
あっ、でも手にキスはされたか…。
あれはどんな意味があったんだろう?
さすがに聞けないか〜。

人を好きになるってこんな感じで始まっていくのかな?
別に手にキスをされたから、それが理由で好きになったわけではなくてーーっ
なんだろう?なんていうか気になる存在?


「なあー、今日暇だから帰りにどっか寄ってかない?
ドーナツかラーメン」
「おいおい、極端だなー。そんな選択肢はサクぐらいしか思いつかないんじゃあ」
「そーかぁ?湊も亮太もどっちでもいい派だろ?どっちにする?って言うか、この話の流れからしたら、2人ともオッケーって事だよな?」
「まあ、俺は行ってもいいよ。今日は塾もないし絵も描き上げちゃったからさ」
「よっし!で、湊は?」
「俺もいいけどさ」
「間をとって、ハンバーガーにするか」
「おいおい」


響からのメールが来るはずだけど、1人でいたらずっとスマホを見てることになりそうだから丁度良かったかもしれない。

帰りのホームルームが終わって、俺たち3人はバーガーショップに向かった。そこにはちょっとしたドーナツも置いてあるから、ちょうどいいって事になって。

「ここのバーガー屋さん初めてなんだけど、バンズがすごいでかくてふわふわらしいよ。でオススメがダブルチーズバーガーアボカド入り」
「サクはそれにするの?俺はアボガドじゃなくて目玉焼きにしようかなぁ?」
「湊は目玉焼きかぁ、じゃぁ俺はエビシュリンプにしよっかな〜」
「エビシュリンプかぁー。いいとこつくなぁ」
「ドリンクは?飲み物は何にする?」
「コーラ」
「飲み物は全員一致でコーラなのかよ(笑)」
「すいませーーん、オーダーお願いします」
「あっ、後でドーナツのメニューも見せて貰おうぜ」
高校生の食欲は計り知れない。

「なあ亮太って最近よく本、読んでるじゃん。あれって何読んでるの?」
「あぁあれ…えっとSFとか?」
「SFかぁ、俺の妹がもうすぐ誕生日でさぁ、誕プレは何がいいかなぁって思ってたんだけど、SFの本とかどーかな」
「SF小説を誕プレとかってムズくない?って言うかさ、
お前って妹居たんだ。幾つなの?」
「小6」
「ぷっつ、マジで?もっと可愛い物を買ってやれよー」
本ならせめて少女雑誌とか?俺も良くわかんないけど。俺には兄弟がいないからその手の話を聞くと羨ましいなって思う。

「亮太先輩?あっ、やっぱり亮太さんだ!」
この時、後ろから1人の男子高校生に声をかけられた。
あれ、見覚えがある!
「あっ、シュウ?シュウじゃん!なんだよー久しぶりだな、元気にしてた?」
「はい、僕もここに友達と食べに来てて。何か亮太先輩に似た声がするなぁって思って」

「なぁ亮太、お取り込み中申し訳無いけど…どちら様?」
「あっ、あぁ、ごめん、シュウト、朝倉 柊斗、俺の中学の時の後輩で俺の1個下」
「へぇ〜、中学以来なの?こんなところで偶然会うとかって本当にあるんだ」
「初めまして、朝倉 柊斗(あさくら しゅうと)です。えっと、、、高校のお友達ですか?」
「そう、俺は上村 サク(うえむら さく)亮太と同じクラスなんだ。よろしく」
「よろしくお願いします」
「俺は不破 湊(ふわ みなと)よろしくね」

「すいません、突然お邪魔してしまって。もし良かったらこれから僕とも仲良くして下さい。
亮太先輩、これ僕のアドレスです。絶対連絡して下さいね」
「おっ、おう、分かった。またな」
「それじゃあ、失礼します」
びっくりしたなぁ。1年ちょいぶり?

「なんだよー。亮太って男にも女にもモテるんだな。年下にも?なんかやけるなぁ」
「だよねー、今の子可愛かったよね。亮太の事、亮太先輩とか言っちゃってさ。」
「あぁ、そうだな。可愛い後輩だったよ…」
「だった?なにそれ?」
「うーん、訳があって暫く会ってなかったんだけど、俺の事になるとちょっとムキになるって言うか…、アイツに迷惑かけたく無いから本当はこのまま会わない方が良かったんだけどさ」
「ふ〜ん、なんか良く分かんないけど色々あったって事なんだ」
「まあ…」
プライベートな事だし、どこまで説明していいのかなぁ。


「お待たせしました〜、コーラとハンバーガーになります」
「おぉーきた、来た!俺がアボカドで、こっちが目玉焼き、んでアイツがエビシュリンプ」

良かった、皆んなの興味がそれた。

レタス,トマト、パテ,レタス、エビ,パテ、レタス の並びの具材がバンズに挟まれて今にも倒れそう、、、
「これ全部食べたら絶対夕飯が食べれないよなぁ。
母さんには勉強で胸がいっぱいで食欲がないとでも言っとくか??」
「そーだな、心配して逆にこれで美味しい物でも食べなさいって小遣いくれるかもしれないよ」
「そんな上手い事いくか?」
「ってかさ、どうやって食べるの、これ?」
「サク、一口でいってみろよ」
「あーできるかな、俺?」
それでも挑戦しようするサク、、。さすがだな(笑
「無理だ、顎がはずれるよ」
「湊と亮太もやってみろよ!絶対無理だから」
「俺は上から押し潰してみようかな」
「湊、やめとけ!折角のふわふわバンズが押し寿司みたいになっちゃうぞ」
「あっそうか!」
ギリギリのところで俺が止めた。
「普通に二つに分けて食べようぜ」
「そうだな」
今度は食べ方のスタイルを勉強してから来ようと思う。

あーーぁ、もう腹一杯だあ、でもまじで美味かった。今度は響も誘ってみようかな?

さっ、今日はこれで解散だ!


ピンコン

「あっ、メール」
家に帰って部屋でくつろいでいたら響からメールが来た。
【今度一緒に勉強する所って、図書館とかがいいかな?逆に静かにしないといけないから…難しい?】
えっ、外で会えるって事?確かに学校の中では友達が話しかけてくるから集中出来ないかー。

【本も貸して貰ったし、お礼と言ってはなんだけど、カフェでお茶しながら勉強しない?そこだったら話し声とかも気にしなくてもいいし】
送ってしまった〜。
ああ言う所はあんまり好きじゃないかな?

【じゃあさ、カフェでテイクアウトして公園で勉強しない?】

【あっ、公園?うん、分かった。そうしよう。宜しくお願いします】

【オッケー、土曜日でいい?】

【もちろん!】
やったぁーー!あっ、喜んでる場合じゃない。
せっかく教えてくれるんだからちゃんと学ばないとな。

とりあえず数学…分からない所に印でもつけておくか。
鞄から教科書を取り出した時、小さなメモ用紙が落ちてきた。
あっ、これバーガー屋さんで渡された・・
柊斗、、いやシュウ・・久しぶりに会ったなぁ。
背が高くなって、顔もカッコよくなってたし。
せっかくアドレスを教えてくれたんだし、返信はしないとなぁ〜。

メルアドは登録した。
メールを送ろうと思って文章を考えたけど、なんて送っていいのか?書いては直し書いては直しを繰り返している。
やっぱり今日はやめておこうかな。
ごめんなシュウ。

シュウを初めて見たのは俺が中2でシュウが中1の時。バスケ部に入って来たのがきっかけだった。おとなしくて人見知りな印象だった。
なんとなくの流れで俺が練習の相手をする様になった。最初はぎこちなくてドリブルも上手くなかったし、シュートも真っ直ぐには打てなかった。でも素直で、頑張り屋のシュウはどんどん上達していって、試合のメンバーにも入れる様になっていった。

俺のことを亮太くんや亮太さんなんて呼んで懐いてくれてたし、俺もシュウトじゃなくてシュウって呼んで可愛がってた。

練習試合で、俺が仲間に押されて腕の骨を折らなければ、きっとシュウと一緒に大切な試合に出ていたはずだった。
俺は試合に出れなかった悲しみと友達の悪意に絶望してバスケを辞めてしまった。それからシユウとは1度も会わずじまい。
俺が中学を卒業してから、シュウが喧嘩してバスケ部を辞めたって聞いた。
相手は俺の怪我の原因を作ったヤツ…。
きっと何かあったんだと思う。シュウはむやみに人と喧嘩する様なヤツじゃ無いから。
俺自身、シュウと会うとあの時の事を思い出して辛くなりそうで。まさか再会するなんて思わなかったなぁ。

「それより、土曜日は何を着ていこうかなあ?」
勉強を教えて貰うんだからカッコつけるのとは違うしなぁ。
まっ、普段通りの俺でいいか。